2017-01-01から1年間の記事一覧

★正月の楽しみ、安永三年

江戸庶民の楽しみ 33 ★正月の楽しみ、安永三年 安永三年、江戸の庶民はどのような生活を送っていたか、町の様相、特に盛り場の動向を柳沢信鴻の日記から探してみたい。日記は、まるで現代新聞の三面記事のように浅草や境町(芝居小屋街)など繁華街の様子を…

柳沢信鴻のガーデニング1773年の植物

安永二年 柳沢信鴻のガーデニング1773年の植物 信鴻の日記の特徴は、毎日のように植物名が出てくることである。六義園に安永二年五月二十三日に引っ越した以降は、六月には29日、七月は29日、八月も29日、九月は28日である。十月は少し減少して26日である。…

★浅草の賑わい(安永二年十一月・十二月)

江戸庶民の楽しみ 32 ★浅草の賑わい(安永二年十一月・十二月) 信鴻も江戸庶民と同じように、浅草の様子に関心を向け日記に再三記している。十一月・十二月に7回触れている。この記述から当時の浅草の賑わいや町の様子が伝わってくる。 十一月十一日は「大…

★雨の種類(安永二年九月・十月)

江戸庶民の楽しみ 31 ★雨の種類(安永二年九月・十月) 信鴻の日記を読むと、日付の次に天候が記されている。その記述が詳細で、日長に丸一日空を見ていたのではないかと思わせる。現代だって気象の変化は、江戸時代とそんなには違っていないはずである。 天…

★栗拾いと茸狩り(安永二年七月・八月)

江戸庶民の楽しみ 30 ★栗拾いと茸狩り(安永二年七月・八月) 七月 朔日戊午 薄曇五頃少地震朝少し涼し西風夕過出八過より東風七過風雲で勿散 ○上館より廻したる石燈籠ニツ庭へ直す○松雑木をきる 二日 朝少涼一面うす陰昼蒸気強四過村雨勿止八過雨霈然無程小…

★花火(安永二年五月・六月)

江戸庶民の楽しみ 29 ★花火(安永二年五月・六月) 五月 朔日 繊雨折々七半ころより蕭雨 夏至二日 淫霖森々夜大猛 三日 大陰暁雨鎮昼過より日出雲漸次霽 四日 雲夜七半頃地震せし由しらす 五日 雨森漫 六日 陰朝繊雨少 七日 曇夜四半頃よハき地震 八日 陰次…

★凧揚げ(安永二年閏三月・四月)

江戸庶民の楽しみ 28 ★凧揚げ(安永二年閏三月・四月) 閏三月は、現在の4月末から5月である。四月は現在の6月である。閏月をいれた暦、現代では何とも感覚的にしっくりしない。ただ、旧暦では四月から夏としているから、そう見ればわからないことはない…

★安永二年二月・三月

江戸庶民の楽しみ 27 ★安永二年二月・三月 『宴遊日記』から江戸の気象状況が見えてくる。信鴻の天候について詳細な記述は、変わり行く季節の様を克明に表している。これは、信鴻の自然への関心の深さを示すものであろう。信鴻は、六義園ではなく、まだ城の…

★正月の楽しみ(安永二年一月)

江戸庶民の楽しみ 26 ★正月の楽しみ(安永二年一月) 江戸庶民が日々どのような暮らしをしていたかはなかなかわからない。底辺の庶民には、日記を記すなど無理なことで、また江戸の町全体を広く見渡して考察することなどできない。そこで参考になるのが、『…

★江戸っ子の本領

江戸庶民の楽しみ 25 ★江戸っ子の本領 「江戸っ子」という言葉が川柳に登場したのは明和八年(1771年)である。その背景には江戸の庶民が自分たちこそ、主役だと考えるようになった事実がある。ちなみに「江戸っ子」の条件は何かというと、江戸城下で生まれ…

★盛んになる相撲

江戸庶民の楽しみ 24 ★盛んになる相撲 ・明和三年(1766年)二月、堺町から出火中村座・市村座が焼失する。 ・三月、芝神明社で勧進相撲が催される。 ・春頃、永代寺での三河岡崎伊賀八幡開帳を含め4開帳が催される。 ・六月、山王権現祭礼が催される。 ・…

★庶民の遊びに憧れて

江戸庶民の楽しみ 23 ★庶民の遊びに憧れて ・寳暦十年(1760年)二月、明石屋火事で中村座・市村座が焼失する。 春頃、肥前座が類焼し、十月に廃座願いが出される。 春頃、六阿彌陀不残開帳を含め6開帳が催される。 ・四月、麹町心法寺で印旛郡佐倉松林寺が…

★盛り上がる江戸の祭り

江戸庶民の楽しみ 22 ★盛り上がる江戸の祭り ・寳暦六年(1756年)一月、日本橋心材木町から出火、中村座・市村座も焼失する。 ・三月、市村座で『梅若菜二葉曽我』六月まで大入りとなる。 春頃、牛込久成寺での上総国埴生郡妙宣寺開帳を含め3開帳が催され…

★武士と町人の遊び

江戸庶民の楽しみ 21 ★武士と町人の遊び 十八世紀も半ばに入ると、江戸の町は大きく変わっていた。江戸に幕府が開かれた当時は、大名の供をして地方からやってくる侍、関西などから上京して商家で働く町人、それに出稼ぎに来た田舎の人といった類の人間が多…

★見世物の経済

江戸庶民の楽しみ 20 ★見世物の経済 ・延享三年(1746年)二月、隅田川木母寺開帳を含め5開帳が催される。 ・二月、坪内火事で中村座・市村座が焼ける。 ・五月、市村座で『一ノ富清和年代記』が大評判で大入りとなる。 夏頃、浅草寺開帳を含め6開帳が催さ…

★庶民の見世物が流行

江戸庶民の楽しみ 19 ★庶民の見世物が流行 ・元文四年(1739年)二月、根津権現開帳を含め3開帳が催される。 ・三月、市村座で『初鬙通曽我』続演大当たり ・四月、下谷善立寺開帳が催される。 ・六月、山王権現祭礼が催される。 ・八月、谷中感応寺、従来…

★将軍吉宗のお花見

江戸庶民の楽しみ 18 ★将軍吉宗のお花見 ・享保十八年(1733年)一月、享保の打ち壊し起こる。 ・一月、初午の祭礼の華美を禁止する。 ・一月、御救米が2万余人に支給される。 ・二月、貧民の地代・店賃支払が猶予令される。 ・三月、音羽護国寺で1・5・…

★御開帳

江戸庶民の楽しみ 17 ★御開帳 ・享保十三年(1728年)一月、中村座で『曽我蓬莱山』が大当たりする。 ・三月、芝愛宕山開帳を催す。 ・七月、吉原角町の名妓玉菊の三回忌に灯籠が出て、年中行事になる。 ・九月、風水害で両国橋流失する。 ・十一月、神田明…

★花より団子の花見スタイル

江戸庶民の楽しみ 16 ★花より団子の花見スタイル ・享保五年(1720年)一月、市村座で『釜鳴振曽我』かけ合いのセリフが大当たりする。 ・一月、森田座で『楪根元曽我』団十郎の矢の根の五郎が大当たりする。 ・一月、中村座で『一富士礼拝曽我』(おふさ徳兵…

吉宗の粋な計らい

江戸庶民の楽しみ 15 ★吉宗の粋な計らい ・正徳四年(1714年)三月、江島生島事件に連座して山村座断絶、以後は江戸三座となる。 ・三月、寺社内の見世物、その他芝居(宮芝居は27座)等を一切停止する。 ・三月、木戸で人寄に役者の声色が流行する。 ・四月、…

御開帳2

江戸庶民の楽しみ 14 ★御開帳2 ・宝永四年(1707年)二月、遊女の町中徘徊・抱置きを禁止する。 ・三月、回向院で伊勢朝熊岳が開帳を催す。 ・三月、日本橋亀井町出火し中村座が全焼する。 ・三月、山村座で『傾城見顧(ミカエリ)本尊』が大当たりする。 ・四月…

御開帳

江戸庶民の楽しみ 13 ★御開帳 ・元禄十三年(1700年)一月、山村座で『けいせい浅間獄』(都の浅妻の怨霊の段の差込)大当たりする。 ・五月、町人の不相応の服装等を禁止する。 ・五月、音羽護国寺で嵯峨清凉寺の初の出開帳、貴賤群集する。 ・五月、森田座で…

豪商たちの絢爛たる遊び振り

江戸庶民の楽しみ 12 ★豪商たちの絢爛たる遊び振り ・元禄四年(1691年)二月、オランダの商館医師としてケンペルが江戸に入る。 ・二月、城内で参府のオランダ人が洋楽を演奏する。 ・三月、中村座・市村座に出演した水木辰之助の鎗踊が大当たりする。 ・六…

庶民の心を掴む遊びの仕掛け人

江戸庶民の楽しみ 11 ★庶民の心を掴む遊びの仕掛け人 以下の一部に問題となる語句・表現があるが、元資料やその背景を鑑み、そのまま使用している。 ・天和四年(1684年)一月、中村座『酒呑童子大江山鬼退治』四世勘三郎隠居して、中村伝九郎と改め舞台を勤め…

★歌舞伎芝居草創期

江戸庶民の楽しみ 10 ★歌舞伎芝居草創期 ・延宝六年(1678年)一月、堺町でからくり・子供芸を興行する。 一月、松本丹後守邸で土佐少掾、繰り『八島』上演する。 三月、大和守邸で鶴屋播磨の一座など上演する。 六月、山王権現祭礼される。 八月、茶屋女を規…

★盆踊りと伊勢踊り

江戸庶民の楽しみ 9 ★盆踊りと伊勢踊り ・寛文十一年(1671年)三月、村山又三郎が日本橋葺屋町に村山座を設立する。 十一月、大和守、山村座へ見物に遣わす。 ○堺町に江戸孫三郎が繰座興行する。 ○大和守邸で操り『浄瑠璃御前』狂言『入間川』他上演する。 …

★幕府の思惑も絡んだ芸能界の既得権争い

江戸庶民の楽しみ 8 ★幕府の思惑も絡んだ芸能界の既得権争い 以下の一部に問題となる語句・表現があるが、元資料やその背景を鑑み、そのまま使用している。 ・寛文五年(1665年)一月、森田座で『曽我』大評判となる。 二月、日傭座が設立される 四月、大和守…

★町人が遊び場を制する

江戸庶民の楽しみ 7 ★町人が遊び場を制する ・明暦二年(1656年)二月、華美な服装などの奢侈を禁止する。 二月、かぶき者や太い緒の編笠かぶり者を逮捕する。 五月、町に端午の菖蒲の兜などの飾り物の華美を禁止する。 六月、神田明神の法楽に、筋違門外で勧…

★遊び場で対立する武士と町人

江戸庶民の楽しみ 6 ★遊び場で対立する武士と町人 ・慶安三年(1650年)二月、山王権現が城内より麹町に移る。 三月、市ヶ谷八幡に小芝居始まる(一人前12文・半畳3文)日々大入り。 六月、浅草寺観音堂の普請始まる。 七月、将軍の誕生日に江戸町奉行が花火を献…

★徐々に盛んになる庶民の遊び

江戸庶民の楽しみ 5 ★徐々に盛んになる庶民の遊び 寛永十二年(1635年)五月、日本人の海外渡航・帰国禁止となる。 六月、山王権現祭礼、上覧あり。 六月、参勤交代が制度化する。 十月、将軍、板橋で鹿狩、捕獲鹿五百余頭を大名や町人に分賜える。 十一月、…