江戸のガーデニング

『花道古書集成』第二巻の花材

『花道古書集成』第二巻の花材 『花道古書集成』第一巻に続く、第二巻の花材名の現代名を示す。えようと試みた。なお、現代名の判別は第一巻と同様に行い、初見等の検証も同様の資料にて行なった。 『立花秘傳抄』 『華道古書集成』第二巻の目次には、最初の…

『花道古書集成』第一巻の花材その2

『花道古書集成』第一巻の花材その2 『百瓶華序』 『百瓶華序』は、「百瓶華序に就いて」によれば「百瓶華會は慶長四年の秋十月十六日・・・開催された・・・慶長五年に書かれたもの」とある。『百瓶華序』には60種程の植物が記され、これらの花材を『明治…

『花道古書集成』第一巻の花材その1

『花道古書集成』第一巻の花材その1 『花道古書集成』には、多くの花材名が記されている。ただ、その名は当時の呼称であり、現代の植物名とは違う。そこで、花道古書(花伝書・花道書)の花材を現代名に置き換えようと試みた。なお、花伝書の成立や刊行年代…

続華道古書集成の植物 第五巻

続華道古書集成の植物 第五巻 『花ふ』 『花ふ』は、解題によれば「筆写本・・・本文は宣阿弥が先師の伝を書写して廊坊犬部卿に授げた直筆の秘書である・・・内容は、花の譜(・・・秘伝・・・)とその花の絵を記した・・・巻物・・・天文時代の自筆花伝書」と…

続華道古書集成の植物 第四巻その2

続華道古書集成の植物 第四巻その2 『千流花之秘書』 『千流花之秘書』は、解題によれば「写本・・・天明五年・・・書写者によってさらに書き加えられたものと考えられる」とある。『千流花之秘書』には60程の花材が記され、そのうち49を現代名にした。これ…

続華道古書集成の植物 第四巻その1

続華道古書集成の植物 第四巻その1 『仙傳抄』 『仙傳抄』は、解題によれば「『仙傳抄』東洋文庫蔵。古活字版。一冊。元和頃に刊行。整版本である寛永二十年刊の『仙傳書』は『花道古書集成』の第一巻に「仙傳抄」の書名で収まる。しかし、本書の古活字版は…

続華道古書集成の植物 第三巻

続華道古書集成の植物 第三巻 『立花圖巻』 『立花圖巻』は、解題によれば「室町時代の立花伝書。筆写本・・・書写年代は奥書の天文廿三年と見て過誤なく・・・と考えられるが、他に拠所なく不詳」とある。立花図21枚あるが、図には花材名の記入はなく、描か…

続華道古書集成の植物 第二巻その3

続華道古書集成の植物 第二巻その3 『立花圖繪』 『立花圖繪』は写本図集で、作者不詳、作成年も元禄末期とされる程度で不明。図に描かれた植物は縮小され、判読困難。したがって、検討を省くことにする。 『諸花抛入百瓶圖』 『諸花抛入百瓶圖』は、解題に…

『花の巻』(『茶之湯三傳集』)の出典を探る

続華道古書集成第二巻の植物 その2 『花の巻』(『茶之湯三傳集』)の出典を探る ・『花壇綱目』『花譜』『花壇地錦抄』 『茶之湯三傳集』が『古今茶道全書』を参考にした可能性は高いものの、その他にも参考にした資料がありそうだ。そこで、当時の園芸書…

続華道古書集成の植物 第二巻その1

続華道古書集成の植物 第二巻その1 『花傳書・座敷莊嚴之図』 『花傳書・座敷莊嚴之図』(以下『花傳書』)は、『続華道古書集成』第二巻の最初の書である。『花傳書』は、解題に「池坊専応の口伝書は奥書によれば天文十一年(一五四二)の筆写であるがこれ…

十八世紀の花材と茶花

茶花 41 茶花の種類その38 十八世紀の花材と茶花 『華道古書集成』の十八世紀に出された花伝書の花材と『槐記』『利休居士百五十回忌追悼如口心斎百会記』『学恵茶会記』『伊達綱村茶会記』『御茶之湯記』『茶湯百亭百会之記』『島津吉貴茶会記』『他所之茶…

十七世紀の花材と茶花

茶花 40 茶花の種類その37 十七世紀の花材と茶花 『華道古書集成』の十七世紀に出された花伝書の花材と『小堀遠州茶会記集成』『古田織部茶書』『伊達綱村茶会記』などの十七世紀に催された茶会の茶花を比べる。花伝書として取り上げるのは、『替花傳秘書』…

万年青

オモト・万年青・をもと オモトの名称 オモトは、大昔から日本に生育していたものと思われる。この植物を鑑賞する、愛でるようになったのもかなり昔からと思われる。室町時代末期刊とされる『饅頭屋本節用集』に「霊草」として喜兆に用いられたと記されてい…

続華道古書集成の植物 第一巻

続華道古書集成の植物 第一巻 『華嚴秘傳之大事』 『続華道古書集成』(思文閣)の最初の書は、『華嚴秘傳之大事』である。なお、『華嚴秘傳之大事』の書名は、外題が不明なため内題から書名が定められている。この書は、「『池坊花藏院判在之書』を書写した…

アヤメとハナショウブの表示名について

茶花と花材の植物名その17 アヤメとハナショウブの表示名について ・アヤメ・イチハツ・カキツバタ・ハナショウブ 茶花や花材を調べていて、気になるのはアヤメ・イチハツ・カキツバタ・ハナショウブ、加えてネジアヤメ・カンザキアヤメなどである。これらに…

茶花と花材の植物名その16

茶花と花材の植物名その16 茶会記や花伝書に記された植物名を整理する。茶花や花材として記された名称は、当時の呼び名であり、必ずしも現代名と同じではない。また、同じ植物と思われるものにも、いくつもの名前が書かれている。その上、書かれている名(漢…

茶花と花材の植物名その15

茶花と花材の植物名その15 マツムシソウ(マツムシソウ科)・・・種名・・・マツムシソウの初見→和漢三才図会1713年? 玉毬花=マツムシソウ・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。 松虫草=マツムシソウ・・・『抛入花薄精微』1796年(寛政七年)…

茶花と花材の植物名その14

茶花と花材の植物名その14 フクジュソウ(キンポウゲ科)・・・種名・・・フクジュソウの初見→毛吹草1645年 ふくつく草=フクジュソウ・・・『小堀遠州茶会記集成』1627年(寛永四年)に記される。 福寿草=フクジュソウ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元…

茶花と花材の植物名その13

茶花と花材の植物名その13 茶会記や花伝書に記された植物名を整理する。茶花や花材として記された名称は、当時の呼び名であり、必ずしも現代名と同じではない。また、同じ植物と思われるものにも、いくつもの名前が書かれている。その上、書かれている名(漢…

茶花と花材の植物名その12

茶花と花材の植物名その12 ナワシログミ(グミ科)・・・種名 酸棗(なわしろぐみ)=ナワシログミ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。 ナンテン(メギ科)・・・種名・・・ナンテンの初見→明月記1230年 南天=ナンテン・・・『仙傳抄』1445…

茶花と花材の植物名その11

茶花と花材の植物名その11 ツユクサ(ツユクサ科)・・・種名・・・ツユクサの初見→万葉集785年前 露草=ツユクサ・・・『天王寺屋会記』1549年(天正十年)に記される。 鴨跖草=ツユクサ・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。 竹花菜=ツユ…

茶花と花材の植物名その10

茶花と花材の植物名その10 センリョウ(センリョウ科)・・・種名・・・センリョウの初見→温故知新書1484年 仙蓼菓=センリョウ・・・『池坊専應口傳』1542年(天文十一年)に記される。 せんりうけ=センリョウ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記…

茶花と花材の植物名その9

茶花と花材の植物名その9 茶会記や花伝書に記された植物名を整理する。茶花や花材として記された名称は、当時の呼び名であり、必ずしも現代名と同じではない。また、同じ植物と思われるものにも、いくつもの名前が書かれている。その上、書かれている名(漢…

茶花と花材の植物名その8

茶花と花材の植物名その8 サンシュユ(ミズキ科)・・・種名 山茱茰=サンシュユ・・・『古流活花四季百瓶図』1778年(安永七年)に記される。 三しゆゆ=サンシュユ・・・『酒井宗雅茶会記』1787年(天明七年)に記される。 サンショウ(ミカン科)・・・…

茶花と花材の植物名その7

茶花と花材の植物名その7 コウホネ(スイレン科)・・・種名・・・コウホネの初見→本草和名918年頃 かうほね=コウホネ・・・『仙傳抄』1445年(文安二年)に記される。 河骨=コウホネ・・・『池坊専應口傳』1542年(天文十一年)に記される。 川ほね=川骨…

茶花と花材の植物名その6

茶花と花材の植物名その6 キンシバイ(バラ科)・・・種名・・・キンシバイの初見→諸禽万益集1717年 金糸梅=キンシバイ・・・『古流挿花湖月抄』1790年(寛政二年)に記される。 キンセンカ(キク科)・・・種名・・・キンセンカの初見→倭名類聚抄935年頃 …

茶花と花材の植物名その5

茶花と花材の植物名その5 カラタチバナ(ヤブコウジ科)・・・種名・・・カラタチバナの初見→新撰字鏡900年頃 かうじ=カラタチバナ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。 唐橘=カラタチバナ・・・『立花訓蒙図彙』1695年(元禄八年)に記さ…

茶花と花材の植物名その4

茶花と花材の植物名その4 オグルマ(キク科)・・・種名・・・オグルマの初見→山科家礼記1491年 ヲクルマ=オグルマ・・・『山科家礼記』1491年(延徳三年)に記される。 ヲ車ノ花=オグルマ・・・『宗湛日記』1587年(天正十五年)に記される。 をくるま=…

十五世紀から十六世紀に使用された花材と茶花

茶花 39 茶花の種類その36 十五世紀から十六世紀に使用された花材と茶花 『山科家礼記』と『仙伝抄』からは十五世紀に使用された花材、『池坊専應口傳』から十六世紀に使用された花材を取り出し、これらと十六世紀の茶会記、『天王寺屋会記』『松屋会記』『…

茶花と花材の植物名その3

茶花と花材の植物名その3 ウスノキ(ツツジ科)・・・種名 うすの木=夏ばせ=ウスノキ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。 ウチョウラン(ラン科)・・・種名・・・ウチョウランの初見→『城和摂諸州採薬記』1817年 岩石蘭=ウチョウラン・…