『古田織部正殿聞書』の茶花

茶花    10 茶花の種類その7
古田織部正殿聞書』の茶花
  『古田織部正殿聞書  古織公聞書巻之二  聞書五』に記されている茶花について、その初見を示すと以下のようになる。資料としては、『資料別・草木名初見リスト』(磯野直秀)をもとに示す。
辛夷=コブシの初見、続詞花和歌集1165年頃。
・茶山花(山茶花)=サザンカの初見、日葡辞書1603~4年
・椿=ツバキの初見、古事記712年
・五月躑(つつじ)=ツツジの初見、万葉集785年前
木瓜=ボケの初見、本草和名918年頃
・木犀=モクセイの初見、下学集1444年
・梅=ウメの初見、懐風藻751年
・桃=モモの初見、古事記712年
・梔子=クチナシの初見、日本書紀720年
・小米外之花・・・不明
・海棠=カイドウの初見、下学集1444年
・三旦花=サンダンカの初見、草花魚介虫類写生1705年
・○桲(マルメロ)の初見、新刊他識編1631年(注・○はネットで表せない漢字)
・小毬(コデマリ)の初見、毛吹草1645年
木蓮花=モクレンの初見、本草和名918年頃
・下野(繍線菊?)=シモツケソウの初見、枕草子1001年頃
・芽張柳・独垂=ヤナギの初見、懐風藻751年
・ひやうの柳=ビヨウヤナギの初見、日葡辞書1603~4年
沙羅双樹・・・不明
・桜=サクラの初見、日本書紀720年
・庭桜=ニワザクラの初見、散木奇歌集1128年頃
・菊=キクの初見、懐風藻751年
・百合=ユリの初見、古事記712年
・萩=ハギの初見、万葉集785年前
・蓮=ハスの初見、古事記712年
・杜若=カキツバタの初見、万葉集785年前
・蜀葵(からあおい)はタチアオイの古名のため不明
・岩藤は庭藤の別名か、そのため不明
・石竹=セキチクの初見、本朝無題詩1163年頃
・撫子=ナデシコの初見、万葉集785年前
・山吹=ヤマブキの初見、万葉集785年前
・月季花(テウシュン)=チョウシュンの初見、明月記1181年
・小蓮花、コレンゲ・・小さなハス?・・ヒツジグサであれば初見、大和本草1709年
・春菊=ハルギク?・・シュンギクであれば初見、訓蒙図彙1666年
・高麗菊=コウライギクの初見、蔭凉軒日録1490年
・高麗百合は不明
・蕙蘭、注に「しらん(白及)の漢名」とあり、シランなら毛吹草1645年、1712年刊の和漢三才図会にシランの別名「蕙蘭」がある。なお、別にケイランという名の植物もある
・桔梗=キキョウの初見、古今和歌集914年頃
水仙スイセンの初見、下学集1444年
・萱草=カンゾウの初見、枕草子1001年頃
・姫萱草=ヒメカンゾウの初見、お湯殿の上の日記1567年
・苠=エビネの初見、山科家礼記1457~92年
芍薬シャクヤクの初見、文華秀麗集818年
・牡丹=ボタンの初見、蜻蛉日記954~974年
・草牡丹はヤマシャクヤクかクサボタンか?、不明
・浜菊=ハマギクの初見、花壇綱目初稿1664年
・罌子=ケシの初見、源氏物語1007年頃
・高麗芥子は不明
・竜胆=リンドウの初見、古今和歌集914年頃
・釣鐘=ツリガネニンジンであれば、日葡辞書1603~4年
・○薇は不明(注・○はネットで表せない漢字)
・華鬘=ケマンソウであれば、尺素往来1481年前
・連書は不明
・花菖蒲=ハナショウブの初見、捨玉集1346年
・るかう(留紅)=ルコウの初見、毛吹草1645年
・紫陽花=アジサイの初見、万葉集785年前
・小車=オグルマの初見、山科家礼記1491年
・鉄線花=テッセンの初見、文明本節用集1500年頃
・野菊=ノギクの初見、尺素往来1481年前
・風車=カザクルマの初見、毛吹草1645年
朝顔アサガオの初見、古今和歌集914年頃
・筑紫撫子は不明
・蒲公英=タンポポの初見、本草和名918年頃
・旋華(ヒルカホ)=ヒルガオであれば、新刊他識編1631年
・菖蒲=アヤメの初見、お湯殿の上の日記1528年
・鳳仙花=ホウセンカの初見、撮壌集1454年
・馬藺=バリン、『明治前園芸植物渡来年表』から山科家礼記1491年か
・小鳶尾=イチハツであれば、文明本節用集1500年頃
・黄梅=オウバイの初見、山科家礼記1488年
・丁子=チョウジソウであれば、毛吹草1645年
・鹿梨子(ヤマ)、は不明
木槿ムクゲの初見、下学集1444年
・合歓木=ネムの初見、万葉集785年前
・樒=シキミの初見、万葉集785年前
沈丁花ジンチョウゲの初見、尺素往来1481年前
・石榴=ザクロの初見、大安寺資材帳747年
・山桜はサクラ参照
・雁緋=ガンピの初見、蔭凉軒日録1490年
・金盞花=キンセンカの初見、倭名類聚抄935年頃
・肥後薊は不明
・薊菜=アザミの初見、新撰字鏡900年頃
・芙蓉=フヨウの初見、塵袋1281年
・藻塩草は不明
・深山樒=ミヤマシキミの初見、山科家礼記1480年
・河骨=コウホネの初見、本草和名918年頃
・鶏頭花=ケイトウの初見、撮壌集1454年
・女郎花=オミナエシの初見、万葉集785年前
・仙連花は不明
・仙翁花=センノウの初見、愚管記1378年
・葵=アオイの初見、万葉集785年前
・凌霄華=ノウゼンカツラの初見、本草和名918年頃
・鬼百合=オニユリの初見、蔭凉軒日録1492年
・姫百合=ヒメユリの初見、万葉集785年前
・瓜=ウリの初見、日本書紀720年
・前尾草(ミソハキ)=ミソハギの初見、本草和名918年頃
・七重花(大和本草に七重草の記述あり)は不明
・茄子=ナスの初見、正倉院文章734年
・菜大根花=ダイコンの初見、古事記712年
・皆百豆は不明
・忍冬=スイカズラの初見、新撰字鏡900年頃
・荊棘花=イバラの初見、万葉集785年前
・苗香は不明
・人参=ニンジンの初見、お湯殿の上の日記1608年
・尾花=ススキとしての初見、古事記712年
・菫=スミレの初見、万葉集785年前
・白扁豆=ササゲとしての初見、日本書紀720年
・覆盆子=イチゴとしての初見、新撰字鏡900年頃
・天南星=ムサシアブミであれば、増補地錦抄1710年
・葱=ネギの初見、日本書紀720年
・雪ノ下=ユキノシタの初見、日葡辞書1603~4年
・石韋=ヒトツバであれば、池坊専栄花伝書1567年
・紫苑=シオンの初見、古今和歌集914年頃
・紅花=ベニバナの初見、小右記999年
・鳶尾=イチハツの初見、文明本節用集1500年頃
・不角花は不明
・玉簪(トウギボウシは玉簪花)=タマノカンザシの初見、地錦抄付録1733年
・馬酔木=アセビの初見、下学集1444年
・蘇枋は不明
・毬は、毬花(アジサイ)か?、不明
・李=スモモの初見、日本書紀720年
・杏子=アンズの初見、お湯殿の上の日記1477年
・林檎=リンゴの初見、本草和名918年頃
・接骨木=ニワトコの初見、撮壌集1454年
・朴花=ホオノキの初見、万葉集785年前
・桐=キリの初見、枕草子1001年頃
・常山は不明
沢潟オモダカの初見、本草和名918年頃
・茶ノ花=チャの初見、色葉字類抄1181年頃
・根篠は不明
・蜜柑=ミカンの初見、看聞御記1419年
・柑子はタチバナかコウジか、不明
・楊梅=ヤマモモの初見、新撰字鏡900年頃
・萩=ハギの初見、万葉集785年前
芭蕉=バショウの初見、文華秀麗集818年
・蔦=ツタの初見、万葉集785年前
・松=マツの初見、古事記712年
・竹=タケの初見、古事記712年
・薄=ススキの初見、古事記712年