茶花と花材の植物名その5

茶花と花材の植物名その5
カラタチバナヤブコウジ科)・・・種名・・・カラタチバナの初見→新撰字鏡900年頃
かうじ=カラタチバナ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
唐橘=カラタチバナ・・・『立花訓蒙図彙』1695年(元禄八年)に記される。
 
カラマツ(マツ科)・・・種名・・・カラマツの初見→山科家礼記1488年
唐松=カラマツ・・・『山科家礼記』1488年(長享二年)
 
カラマツソウキンポウゲ科)・・・種名・・・カラマツソウの初見→本草和名918年頃
唐松草=カラマツソウ・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。
松風=カラマツソウ・・・『華道全書』1717年享保二年)に記される。
 
カリンバラ科)・・・種名・・・カリンの初見→庭訓往来・南北朝
花櫚=カリン・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。
かうぼけ=榠櫨=カリン・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
棺樝=カリン・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。
木瓜=カリン・・・『古流挿花湖月抄』1790年(寛政二年)に記される。
 
カルカヤ(イネ科)・・・種名・・・カルカヤの初見→枕草子1001年頃
カルカヤ=カルカヤ・・・『山科家礼記』1491年(延徳三年)に記される。
刈萱=かるかや=カルカヤ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
苅萱=カルミア・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。
 
カワラサイコバラ科)・・・種名・・・カワラサイコの初見→本草綱目品目1672年?
河原紫胡=カワラサイコ・・・『挿花四季枝折』1794年(寛政五年)に記される。
 
カワラナデシコナデシコ科)・・・種名・・・カワラナデシコの初見→仙伝抄1536年写
カワラナデシコ=河原なてしこ・・・『仙傳抄』1445年(文安二年)に記される。
 
カワラヨモギ(キク科)・・・種名・・・カワラヨモギの初見→本草和名918年頃
野菊=かわらゑもぎ=カワラヨモギ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。
河原○蒿=カワラヨモギ・・・『挿花四季枝折』1794年(寛政五年)に記される。
 
カンアオイウマノスズクサ科)・・・種名・・・カンアオイの初見→花壇地錦抄1695年
馬蹄莘=カンアオイ・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。
 
カンゾウユリ科)・・・総称名・・・カンゾウの初見→枕草子1001年頃
くはんさう=カンゾウ・・・『仙傳抄』1445年(文安二年)に記される。
萱草=カンゾウ・・・『池坊専應口傳』1542年(天文十一年)に記される。
宜男=忘憂草=カンゾウ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
 
カンチク(イネ科)・・・種名
寒竹=カンチク・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。
 
ガンピナデシコ科)・・・種名・・・ガンピの初見→蔭凉軒日録1463年
岩比=岸此=ガンピ・・・『池坊専應口傳』1542年(天文十一年)に記される。
かんひ=ガンピ・・・『金森宗和茶書』1653年(承応二年)
雁緋=がんひ=ガンピ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
雁皮=ガンピ・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。
眼皮=ガンピ・・・『立花指南』1688年(貞享五年)に記される。
前羅花=ガンピ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
雁鼻仙翁=ガンピ・・・『攅花雑録』1757年(宝暦七年)に記される。
剪春羅=ガンピ・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。
 
カンボタン(ボタン科)・・・変種・・・フユボタンの初見→増山之1663年
冬ぼたん=カンボタン・・・『立花訓蒙図彙』1695年(元禄八年)に記される。
冬牡丹=カンボタン・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。
 
キュウリ(ウリ科)・・・種名・・・キュウリの初見→倭名類聚抄935年頃
黄瓜花=キウリ・・・『天王寺屋会記』1583年(天正十一年)に記される。
 
キカシグサミソハギ科)・・・種名
木歌=キカシグサ・・・『酒井宗雅茶会記』1787年天明七年)に記される。
 
キキョウ(キキョウ科)・・・種名・・・キキョウの初見→古今和歌集914年頃
ききやう=キキョウ・・・『仙傳抄』1445年(文安二年)に記される。
桔梗=キキョウ・・・『池坊専應口傳』1542年(天文十一年)に記される。
鬼きよう=キキョウ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
利女=房圖=ありの火ふき=一重草=きちかふ=キキョウ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
 
キク(キク科)・・・総称名・・・キクの初見→懐風藻705年前
きく=菊=キク・・・『山科家礼記』1488年(長享二年)に記される。
隠君子=紫毬=かはらよもぎ=百夜草=契草=菊草=星見草=承和菊=キク・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
  なお、キクについては、春菊、夏菊、秋菊、冬菊、野菊などの記載がある。これらの名称は、現代の種名を示していると判断できないものが多い。たとえば、『立花秘傳抄』に、寒菊に続いて、霜見菊、秋無草、残り草と記されている、これらはキクの種名ではなく冬期に咲いているキクを指している。したがって、種名として判断できるものを除いて、○○菊などと記されているものは、すべて総称名である「キク」とする。
 
キジカクシユリ科)・・・種名・・・キジカクシの初見→花壇地錦抄1695年
雉子竄=キシカクシ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。
 
キジノオ(キジノオ科)・・・種名・・・キジノオの初見→花壇地錦抄1695年
きじの尾=キジノオ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
 
キスゲユリ科)・・・総称名(ゼンテイカユウスゲなどを指しいてると判断)
黄菅=キスゲ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
金菅草=キスゲ・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。
きすけ=キスゲ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
 
キチジョウソウユリ科)・・・種名・・・キチジョウソウの初見→易林本節用集1597年
吉祥草=キチジョウソウ・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。
 
キビ(イネ科)・・・種名・・・キビの初見→万葉集785年前
キヒ=キビ・・・『山科家礼記』1491年(延徳三年)に記される。
黍=キビ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
 
キブシ(キブシ科)・・・種名・・・キブシの初見→薬品手引草1778年
黄藤=キブシ・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。
 
ギボウシユリ科)・・・総称名・・・ギボウシの初見→塵袋1281年
  『立花指南』によれば、「玉簪・・・大小二種あり」とある。この記述から、当時は、ギボウシ類の種を詳細に分けていなかったと思われる。また記述の中に「から玉簪」がある。これはオオバギボウシ(とうぎぼうし)を指しているのではなく、タマノカンザシであろう。ギボウシの表記には、以下のようにいくつもあり、判別できないので総称名とした。
キホウシ=ギボウシ・・・『山科家礼記』1491年(延徳三年)に記される。
葱花=ギボウシ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
珠簪=ギボウシ・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。
玉簪=ギボウシ・・・『立花指南』1688年(貞享五年)に記される。
きほうし=銀賓珠=玉簪花=大菊大蘭=白靍仙=ギボウシ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
銀法師=ギボウシ・・・『立花便覧』1695年(元禄八年)に記される。
蔥花=ギボウシ・・・『攅花雑録』1757年(宝暦七年)に記される。
擬法珠=ギボウシ・・・『源氏活花記』1765年(明和二年)に記される。
玉替=ギボウシ・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。
紫萼=ギボウシ・・・『活花圖大成』1789年(寛政元年)に記される。
蔥鳳花=ギボウシ・・・『生花出生傳圖式』1790年(寛政二年)に記される。
 
キョウガノコバラ科)・・・種名・・・キョウガノコの初見→諸禽万益集1717年
夏雪艸=キョウガノコ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。
キョウチクトウキョウチクトウ科)・・・種名・・・キョウチクトウの初見→和漢三才図会1713年?
梜竹桃=キョウチクトウ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。
 
ギョリュウ(ギョリュウ科)・・・種名
三春柳=ギョリュウ・・・『挿花千筋の麓』1768年(明和五年)に記される。
魚柳=ギョリュウ・・・『挿花秘傅伝圖式』1799年(寛政十年)に記される。
 
キリゴマノハグサ科)・・・種名・・・キリの初見→枕草子1001年頃
きり=キり・・・『山科家礼記』1491年(延徳三年)に記される。
桐=キり・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。
泡桐=栄桐=ひとは草=キリウシ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。
 
キリシマツツジツツジ科)・・・種名・・・キリシマツツジの初見→増山之井1663年
映山紅=キリシマツツジ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。
 
キリンソウ(ベンケイソウ科)・・・種名・・・キリンソウの初見→新撰類聚往来1500年頃
麒麟草=キリンソウ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。