和のガーデニング・補足2

補足2
イメージ 2  昭和記念公園は、180ヘクタールにおよぶ日本を代表する国営公園である。この公園は私の好きな公園の一つで、一日居ても楽しく飽きない魅力がある。これが市民公園であれば、何もいうことはない。が気になるのは、「昭和記念」という時代を冠していることで、その意味を本当に考えているのだろうか。昭和の時代を代表する公園(造園)に相応しいか、評価は国内だけでなく、世界に誇れる日本の公園(造園)であるかが問われる。東京には、同じように時代を冠した造園(公園)に、明治神宮がある。明治時代は、西欧の技術や文化を取り入れ、模倣に励んだ時代である。明治神宮の造営も、それまでの日本庭園の造園とは異なる形態、植物の遷移(サクセッション)という考え方を取り入れている。
  この植物生態学の発想は、西欧から学んだものである。それに対し、当時の首相・大隈重信は、この造営を「雑木の藪やぶにするつもりか」と批判したとある。しかし、現在では西欧の模倣などまったく感じられない、日本ならではの様相を呈している。さらに、「明治」を冠することに違和感がないどころか、日本を代表する造園(公園)として外国人に胸イメージ 1を張って紹介したくなる。
  それに対し、昭和記念公園は、造成されてまだ30年(明治神宮は百年)ということで、早急な判断をすべきでないかもしれない。また、昭和記念公園は、昭和の日本人の好みを反映したもので、それはそれで受け入れるべき、との意見もあろう。もし、この公園が、立川市の市民公園であれば、確かに非常に素晴らしい公園である。しかし、やはり国営公園を代表し、昭和を記念するには、あまりにも薄っぺらな感じがしてならない。
イメージ 3  昭和記念公園には、昭和の郷愁を誘うような景観、また日本庭園ではあたり前の借景や見立の手法が効果的に示されていない。たとえば、広場一つにしても、西欧の真似でない日本ならではの発想でデザインできるはずである。昭和記念公園の目玉であるイメージ 4渓流広場、明らかにキューケンホフを模倣している。模倣しても、それ以上に美しい景観になるかまわないが、妙におもねるだけとなってはならない。
 キューケンホフは、チューリップなどをふんだんに使用して、その美しさをさらに高める演出がなされている。そのテクニックは、周イメージ 5囲にある広大なチューリップ畑を園内から垣間見えるようにしている。だがその光景は、散策する人には、あまり強い印象を与えないよう仕組まれている。むしろ、気づかない人が多いくらいなのだが、潜在的に脳裏に刷り込もうとしている。そのような企てがあるから、見せ場となる渓流広場の花々は、鑑賞者に強いインパクトを与え、より美しさを増して見える。
  景観の設計は、素人が感動した場面だけをただ再現したら、キューケンホフの猿まねでしかない。なぜ美しく感じるかを解析し、その仕組み考察し、それ以上の景観をつくり、模倣ではないと感じさせるような景色を創るべきである。