和のガーデニング・補足1

補足1 
 昭和記念公園は、景観のつくり方、見せ方にいくつもの問題点がある。まず、最初の見せ場とな入口のカナールは、あけぼの口から緩やかな丘を登ると、遠くに噴水などが見える。さらに進み、入場門近くになると噴水・カナールは見にくくなり、門を潜り進むと噴水・カナールの美しい姿が展開する。景観を見せる手法としては一応考えられているが、その演出効果や景観構成には問題がある。
イメージ 1①最初の丘の上から景観は、見せたいと思う噴水が、奥の方に見えることは見えるがインパクトが弱い。その理由は、噴水を取り巻く景観が雑然としていることに加え、その背後に公園とは無関係の建物が見え、目障である。ベルサイユ庭園などの西欧整形庭園を見たことのある人にとっては、スッキリしない中途半端な景色である。
②眺望(ビスタ)に奥行きを感じさせるには、凹みの角度(コンケーブ)をもっと急にする必要がある。すり鉢状にして見下ろすようにすれば、噴水・カナールはもっとその形がよく見えたはず。噴水が両側のイチョウ並木の焦点に位置するように、またそれがハッキリとわかるような景観にすれば、噴水が際たった。
イチョウは、20~30mに生長する樹木である。先端を切り落とさず伸ばしていたら、見通し線は強調され、噴水を際立たせることができたはず。イチョウらしからぬ樹形にイメージ 2するなら、なにもイチョウでなくてもよい。なぜイチョウを植えたのか。類似した樹形なら、「あけぼの口」や昭和天皇も好みであったとされる曙杉(メタセコイア、大昔には日本にも自生していたとされる)でも良かったのでは。せっかくのイチョウの尖った樹形、切られる理由があるのだろうが一般の人にはわからない。
④もしかすると、あの場所に整形式庭園風のデザインを導入すること自体、無理だったのではなかろうか。公園の入口に昭和天皇記念館があり、そこから公園内へと入るのであるから、最初のゾーンは記念館と何らかの関連があるイメージや昭和を思い起こすような景観を見せるべきではなかろうか。