植栽地の環境を整える


1  植栽地の環境を整える
  山野草を育てるのに最も重要なのが環境形成です。安定した環境が成立すれば、さほど手を入れなくても山野草は生育します。マンションのベランダだから、裏庭で狭く日当たりが悪いから、などとあきらめている人が少なくありません。確かに、何も工夫をせずに直接植えれば、なかなか育ちません。しかし、山野草の中には、こんな所でも花を咲かせるという植物もあります。
 環境として注意するは、日照と気温、湿度(空気中・土壌の乾湿)でしょう。他にも、風通しや降水量、pH(土壌)などもあります。ただ、これらの要因は互いに関連しあっており、総合的に対応することが必要です。そこで、まず日照、土壌の乾湿から検討します。

1-1  日照条件
  日当たりが良いか悪いかは、山野草の生育に大きな影響を与えます。日照の評価は、一日陽が当たっている場所から、直射日光がほとんど入らない暗い場所まであります。これから植えようとする場所がどのレベルであるか確認してください。そのような日照条件を7つに分けて、日照環境に応じた植物を示しましょう。

イメージ 11  直射日光がほとんど当たらない場所にでも生育する植物として、オモト、カイメージ 2ンアオイなどがあります。これらの植物は強度の耐陰性がありますが、日当たりを全く必要としないということではありません。少しでも陽が長く射せば良いことは言うまでもありません。


                                    
イメージ 32  次いで、時々陽が射すくらいで、年間を通して薄暗いと感イメージ 4じるところに生育する植物として、イカリソウエビネ、シュンラン、レンゲショウマなどがあります。なお、これらの植物は、自然の中ではかなり明るい樹林の中でも生育します。




イメージ 53  年間の大半は日陰を好むが、勢いよく生育する時や花の咲く時はイメージ 6陽の当たることの必要な植物として、カタクリキクザキイチゲニリンソウなどがあります。これらの植物は、春に咲く草花が多く、夏以降に休眠する植物が多いです。





イメージ 74  いわゆる半日陰に生育する植物として、ジョウロウホトトギス、ソバナ、トリイメージ 8アシショウマなどがあります。午前中は陽が差すが午後は日陰に、また、午前中は日陰で午後に数時間だけ陽が射すような場所に生育する植物です。


イメージ 95  日当たりを好むものの、強い日差しに照らされると弱る植イメージ 10物として、オオバショウマ、クガイソウ、コシジシモツケなどがあります。特に直射日光を受け、気温が30℃以上になると弱ってしまう植物で、これらの他に一般に高山植物と呼ばれる植物が該当します。

イメージ 116  日当たりを好み、多少の日陰であっても生育する植物としイメージ 12て、カワラナデシコ、キキョウ、ヒオウギなどがあります。ただ、一日夏の炎天下に照らされると弱り、数時間は日陰のあることが望ましい植物が該当します。


イメージ 137  夏の炎天下にも負けずに生育する植物として、オミナエイメージ 14シ、ツリガネニンジンヤブカンゾウなどがあります。近年の酷暑にも負けずに、周囲の植物が弱るとは対照的に強靱な性質を発揮する植物です。また、多少の日陰になってもよく生育します。