『花壇地錦抄』5 草花秋之部

『花壇地錦抄』5 草花秋之部
△草花秋之部
 「草花秋之部」は62品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。これらを『牧野新日本植物図鑑』などから推測すると以下のようになる。
 「白仙翁花」は、センノウ(ナデシコ科)の白花。
 「赤仙翁花」は、センノウ(ナデシコ科)の赤花。
 「緋仙翁花」は、センノウ(ナデシコ科)の緋色花。
 「かき仙翁花」は、センノウ(ナデシコ科)の柿色花。
 「口紅仙翁花」は、センノウ(ナデシコ科)の斑入り。
 「唐鶏頭」は、ケイトウヒユ科)。
 「大坂鶏頭」は、ケイトウヒユ科)の変種。
 「野鶏頭」は、ケイトウヒユ科)・変種?。
 「とうき」は、ニホントウキ(セリ科)。
 「やくも草」は、メハジキ(シソ科)。
 「いしミ川」は、ミゾソバタデ科)。
 「だんどく」は、ダンドク(カンナ科)。
 「ほうせんくわ」は、ホウセンカ(ツリフネソウ科)。
 「三七」は、サンシチソウ(キク科)。
 「郭公」は、ホトトギスユリ科)。
 「麝香」は、ジャコウソウ(シソ科)。
 「うゐきやう」は、ウイキョウ(セリ科)。
 「そくづ」は、ソクズ(スイカズラ科)。
 「ミやうが草」は、ヤブミョウガツユクサ科)。
 「赤ミやうが草」は、ハナミョウガ(ショウガ科)の赤花か。
 「雁来紅」は、ハゲイトウヒユ科)。
 「錦草」は、ハゲイトウヒユ科)の変種。
 「芨菫」は、トリカブトキンポウゲ科)。
 「竹馬草」は、ナンバンギセル(ハマウツボ科)。
 「紫菀」は、シオン(キク科)。
 「大坂紫菀」は、シオン(キク科)の変種。
 「小紫菀」は、シオン(キク科)・変種?。
 「りんだう」は、リンドウ(リンドウ科)。
 「白りんだう」は、リンドウ(リンドウ科)の白花。
 「吾木香」は不明。
 「女郎花」は、オミナエシオミナエシ科)。
 「刈萱」は、カルカヤ(イネ科)・総称名。
 「淡穂」は、サラシナショウマキンポウゲ科)。
 「しうめい菊」は、シュウメイギクキンポウゲ科)。
 「淡雪」は、オオバショウマ(キンポウゲ科)か。
 「千日向」は、センニチコウヒユ科)。
 「小車」は、オグルマ(キク科)。
 「野こま」は不明。
 「弟切草」は、オトギリソウ(オトギリソウ科)。
 「白頭草」は、ジャノヒゲ(ユリ科)・変種?。
 「くわんをんさう」は、キチジョウソウ(ユリ科)か。
 「ひごたい」は、ヒゴタイ(キク科)。
 「姫ひごたい」は、ヒメヒゴタイ(キク科)。
 「風鈴」は、フウリンソウ(キキョウ科)と思われるが、蔓植物ということから異なると判断。鈴のような花で、蔓性の植物として『公益地錦抄』に「羊乳根」がある。これは、ツルニンジン(キキョウ科)と推測される。
 「るかう」は、ルコウソウヒルガオ科)。
 「鼠尾草」は、ミソハギミソハギ科)。
 「つわ」は、ツワブキ(キク科)。
 「葈耳」は、ナモミ(キク科)。
 「後時花」は、ゴジカ(アオギリ科)。                        
 「おけら草」は、オケラ(キク科)。
 「芙蓉」は、フヨウ(アオイ科)。
 「瓔珞草」は、シュウカイドウ(シュウカイドウ科)。
 「曼朱沙華」は、ヒガンバナヒガンバナ科)。
 「たからかう」は、オタカラコウ(キク科)。
 「田村草」は、タムラソウ(キク科)。
 「日廻」は、ヒマワリ(キク科)。
 「仙人草」は、センニンソウキンポウゲ科)。
 「宮城野」は、ミヤギノハギマメ科)。
 「萩」は、ヤマハギマメ科)。
 「みだれ萩」は、ヤマハギマメ科)・変種?。
 「唐蓮花」は、イワレンゲ(ベンケイソウ科)・変種?。
 「岩れんげ」は、イワレンゲ(ベンケイソウ科)。
 「苦爪」は、ニガウリ(ウリ科)。
 「吾木香」はワレモコウ(キク科)と思ったが、「葉ハおぎのごとくすすきのるひなり」とある。そのため、イネ科の植物と推測されるため不明とする。

○菊のるひ
 「菊のるひ」は230品あり、136品に説明があるが、残りの94品は名称のみである。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。これらの品名は、すべて園芸種であると判断した。そのため、「あづま・こんきく・はまぎく」など『牧野新日本植物図鑑』に類似する品名があるもの、同じ植物ではないと判断した。

○葉の見事成るひ
 「葉の見事成るひ」は10品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。これらを『牧野新日本植物図鑑』などから推測すると以下のようになる。
 「蘇鐵」は、ソテツ(ソテツ科)。
 「孔雀草」は、クジャクシダ(ウラボシ科)。
 「鳳凰草」は、ホウライシダ(ウラボシ科)。
 「藜蘆」は、オモト(ユリ科)。
 「筋藜蘆」は、オモト(ユリ科)の変種。
 「一葉」は、ヒトツバ(ウラボシ科)。
 「巻柏」は、イワヒバイワヒバ科)。
 「忍草」は、シノブ(ウラボシ科)。
 「忘草」は、ノキシノブ(ウラボシ科)。
 「箱根草」は、ハコネソウ(ウラボシ科)。
        

○冬草之部
 「冬草之部」は5品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。これらを『牧野新日本植物図鑑』などから推測すると以下のようになる。
 「水仙花」は、スイセンヒガンバナ科)。
 「冬牡丹」は、カンボタン(キンポウゲ科)。
 「寒菊」は、カンギク(キク科)・総称名。
 「寒葵」は、カンアオイウマノスズクサ科)。
 「寒百合草」は不明。