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江戸の盆栽 8 鉢植の用途

江戸の盆栽 8 鉢植の用途 鉢植の贈答 江戸時代の盆栽を知る上で、鉢植がどのように使われていたか、その用途に注目してみたい。鉢植は、植物の栽培や鑑賞するためであることはいうまでもないが、贈答品として重要な役割を担っていた。家康は、ハイビスカスとマツリカを島津家久から贈られているが、切り花が献じられたとは考えにくいので、鉢植であることはまず間違いないだろう。珍しい植物や貴重な植物を贈答品として使う時は、鉢植を贈るのが江戸時代の常識であったらしい。 現代では、植物を贈る場合は、花…

江戸の盆栽 7

江戸の盆栽 7 盆栽(はちうゑ)の値段 6 ★貳分 貳分という額は、今の10万円に相当する。その大半は、盆栽仕立のものであろう。 「長島オモト」は、オモトの園芸品種であろう。徳川家康が江戸城入城した際に、三河の国の長島長兵衛から贈られた斑入りのオモトを、床の間に飾ったとの故事がある。 「松葉蘭(持込)」は、マツバラン科の「マツバラン」。(持込)の意味はよくわからない。 「筋星ハラン」は、ユリ科の「ハラン」。葉に筋と星の斑が入ったものであろう。 「七面芙蓉」は、アオイ科「シチメ…

江戸の盆栽 6

江戸の盆栽 6 園芸第一巻第二号 より編集 盆栽(はちうゑ)の値段 5 ★貳朱 貳朱という金額は、今の2万5千円ぐらい、少々高価な植物である。 「松平班たちばな」は、松平班という斑のある、ヤブコウジ科の「カラタチバナ」。「カラタチバナ」は「百両金」とも呼ばれ、かつては途方もない金額(百両)の付けられた盆栽である。 「上班近江はらん」は、ユリ科「ハラン」の園芸品種。 「紀州大戟」。トウダイグサ科の「タイゲキ」で紀州産ということではなかろうか。なお、『本草図譜』には、「しととび大…

江戸の盆栽 5

江戸の盆栽 5 盆栽(はちうゑ)の値段 4 ★三百文の植物 三百文というのは、今の金額でいうと9,375円。気軽に購入できる額ではないと思われる。 「たこ作り梅」は、ウメの作りものの盆栽であろう。 「石菖有栖川」は、サトイモ科の「セキショウ」の園芸品種。『牧野新植物図鑑』には、「小さいものをアリスガワゼキショウ」と記されている。現代では、ポット苗として通信販売で求めることができる。値段は千円以下である。 「正宗類」は前記セキショウの斑入りの種類か。 「牡丹葉延胡索」は、中国原…

江戸の盆栽 4

江戸の盆栽 4 「たこ作り」と「しの作り」(盆栽の値段 3) 次の百五十文の植物に、「たこ作り」「しの作り」という言葉が出てくる。江戸時代の盆栽に、蛸作り、篠作りという樹形があったのだろう。現代の盆栽の本などで示される樹形としては、「直幹」「模様木」「斜幹」「蟠幹」「双幹」「ほうき立ち」「吹き流し」「懸崖」「多幹もの」「株立ち」「寄せ植え」「文人木」「石付き」などがあげられ、これらの樹形に対しては、図や写真、コメントがつけられている。だが、「たこ作り」については、現代では作ら…

江戸の盆栽 3

江戸の盆栽 3 盆栽(はちうゑ)の値段 2 江戸の庶民は、どこで盆栽を買っていたのだろう。そんな疑問に答えてくれる絵がある。『江戸名所図会』にある植木市の絵だ。場所は、茅場町の日枝神社、薬師堂門前。現在の東京駅から東に1㎞少々の位置、日本橋から歩いても十分ほどの近さである。ここで「毎月八日十二日 薬師の縁日には 植木を商うこと 夥しく参詣 群集して 賑はへり」。根巻した苗木もあるが、盆栽(はちうゑ)も数多く並んでいる。植木を求める人、植木を売る人、値段を交渉している様子などが…

江戸の盆栽 2

江戸の盆栽 2 盆栽(はちうゑ)の値段 1 江戸時代の盆栽は、どのくらいの価格で売られていたのだろう。嘉永五年(1852)、コオモトが流行し、三両以上の高額の盆栽の売買が禁止された。このように園芸植物はバブル現象を起こしていたから、とてつもない金額で売買されていたものがあったのは事実。しかし、江戸の街中で売られていた盆栽の大半は、庶民でも手が出せる安価なものが多かったものであろう。そこで、普通の盆栽の値段も知りたい。そうした疑問に応えてくれる資料がここにある。 白井光太郎は明…

江戸の盆栽 1

江戸の盆栽 1 「ボンサイ」と「はちうゑ」 江戸のガーデニングとして、盆栽にふれないわけにはいかないだろう。江戸時代には、どのような盆栽が楽しまれたかと興味がそそられる。現代では、盆栽の種類を「松柏」「葉もの(雑木)」「花もの」「実もの」の4種類に分けているようだ。もっと、それだけでは盆栽の種類を覆いきれない。ミニ盆栽、苔玉盆栽、皐月盆栽、万年青、山野草、さらに寄植盆栽、盆景、石付け盆栽などもあるようで、盆栽の領域は広がっている。 江戸時代の園芸書や絵などには、盆栽らしきもの…