必要なのは持続的なふれあい

自然保護のガーデニング
・必要なのは持続的なふれあい
 自然を大事にしようとか、保護しようとする気になるには、自然に自分から接しようとすることと、自然とのふれあいを持続させることが重要である。気まぐれや、他人から言われて自然と親しんだり、まして義務のように保護を強制されては、自然とのふれあいは長続きしない。そのためには、自然教育の取り組み方を、人間を主体にして、もっと身近な自然からはじめたらいいだろう。
  たとえば、自然教育を子どもの「生きる力」を育むために行い、小動物を積極的に飼育している学校がある。「生き物を飼うと不登校の子どもがいなくなりますよ」と自信をもって話す先生がいる。真偽のほどはともかくここまではっきりと「○○すると不登校の子どもがなくなります」と言いきれるものが他にあるだろうか。もちろん、ただウサギやアヒルを飼うだけで不登校の子どもがいなくなるというわけではなく、熱意ある先生が存在してこその結果である。しかし、生き物とふれあうことによって、子どもに何らかの力、プレッシャーだと感じていたものを克服する力を与えたことは、確かなようである。
 ではなぜ、先端文明のコンピューターではなく、生き物でなければならないのか。まず、小動物には無条件に子どもの心を引きつける魅力がある。そして本能的に生命を感じ取ることができる。また、ウサギなどの小動物は子どもよりか弱く、子どもの側がイニシアチブをとれる。こうして、ウサギとのふれあいに子どもは自信と安心を覚え、何かしてあげたいという気持ちになる。
 この優位性は、子どもがウサギと同等になるだけの気持ちのゆとりを与える。自分の愛情を小動物に与えると同時に、小動物からも愛情をもらっていることを自覚できるようになる。つまり、子どもは、小動物を自分と同等に思える存在にし、小動物との意思の疎通ができたと感じるのであろう。このウサギとのコミュニケーションは、子どもからの一方的なものではあるが、子どもの情緒を安定させるのに非常に有効である。ここで注目すべきは、小動物とのふれあいが一度ではなく、何日も持続することである。
 たとえば、幼稚園でウサギに餌をやる係になった子どもがいるとする。最初はおっかなびっくりかもしれないが、そのうちおもしろくなってくる。そうなると、その子が風邪をひいてしまったような時も、幼稚園は休むけど、ウサギが気になるから、ウサギに餌を与えるだけは行きたい、と言って親を困らせたりする。
 このような自発的な生き物とのふれあいから、自然を知る糸口を自分から求めていくことが何よりも必要で、そのための動機付けをするのが自然教育である。まずは、抽象的に自然を保護させようとするのではなく、具体的な動植物、たとえばウサギをかわいいと思わせることから始めなければならない。最初に必要なのは、自然についての正確な知識や保護をしなければならない理由ではない。動物や植物への愛情である。
  あとは、自然とのふれあいを持続させることによって、自然を保護しようという気持ちになっていくことを期待するのである。これからは、自然との持続的なふれあいをトレーニングしなければならない時代である。その手はじめとして、ガーデニングは最良の方法である。