2014-01-01から1年間の記事一覧

茶花と花材の植物名その14

茶花と花材の植物名その14 フクジュソウ(キンポウゲ科)・・・種名・・・フクジュソウの初見→毛吹草1645年 ふくつく草=フクジュソウ・・・『小堀遠州茶会記集成』1627年(寛永四年)に記される。 福寿草=フクジュソウ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元…

和のガーデニング はじめに

和のガーデニング はじめに 環境緑化新聞への連載を2014年12月で終了することで、これまで記した内容を整理補足し、順序立てて示す。 はじめに 「和のガーデニング」を薦めようと決意したのは、ドイツの造園家を都内の公園に案内したことによる。夕方に近づ…

和のガーデニング・補足1

補足1 昭和記念公園は、景観のつくり方、見せ方にいくつもの問題点がある。まず、最初の見せ場とな入口のカナールは、あけぼの口から緩やかな丘を登ると、遠くに噴水などが見える。さらに進み、入場門近くになると噴水・カナールは見にくくなり、門を潜り進…

和のガーデニング・補足2

補足2 昭和記念公園は、180ヘクタールにおよぶ日本を代表する国営公園である。この公園は私の好きな公園の一つで、一日居ても楽しく飽きない魅力がある。これが市民公園であれば、何もいうことはない。が気になるのは、「昭和記念」という時代を冠してい…

茶花と花材の植物名その13

茶花と花材の植物名その13 茶会記や花伝書に記された植物名を整理する。茶花や花材として記された名称は、当時の呼び名であり、必ずしも現代名と同じではない。また、同じ植物と思われるものにも、いくつもの名前が書かれている。その上、書かれている名(漢…

自然保護のガーデニング ・自然と親しむには

自然保護のガーデニング 自然保護とガーデニング、一見、関連性の薄い活動に見えるかもしれないが、根っこの部分では間違いなくつながっている。との思いから書いた「自然保護のガーデニング」(中公新書ラクレ)、刊行されてからもう10年以上も経ってしまっ…

茶花と花材の植物名その12

茶花と花材の植物名その12 ナワシログミ(グミ科)・・・種名 酸棗(なわしろぐみ)=ナワシログミ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。 ナンテン(メギ科)・・・種名・・・ナンテンの初見→明月記1230年 南天=ナンテン・・・『仙傳抄』1445…

和のガーデニング 16

和のガーデニング 16 十一月の花としては、イソギク・カントウヨメナ・菊類・シロバナタンポポ・スイセン・ツワブキ・ナンバンギセルなど限られる。これらの植物は大半がキク科の植物である。イソギクは、草丈30~40㎝程の多年草で、花は、茎の先端に鮮やか…

茶花と花材の植物名その11

茶花と花材の植物名その11 ツユクサ(ツユクサ科)・・・種名・・・ツユクサの初見→万葉集785年前 露草=ツユクサ・・・『天王寺屋会記』1549年(天正十年)に記される。 鴨跖草=ツユクサ・・・『抛入花傳書』1684年(貞享一年)に記される。 竹花菜=ツユ…

茶花と花材の植物名その10

茶花と花材の植物名その10 センリョウ(センリョウ科)・・・種名・・・センリョウの初見→温故知新書1484年 仙蓼菓=センリョウ・・・『池坊専應口傳』1542年(天文十一年)に記される。 せんりうけ=センリョウ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記…

茶花と花材の植物名その9

茶花と花材の植物名その9 茶会記や花伝書に記された植物名を整理する。茶花や花材として記された名称は、当時の呼び名であり、必ずしも現代名と同じではない。また、同じ植物と思われるものにも、いくつもの名前が書かれている。その上、書かれている名(漢…

茶花と花材の植物名その8

茶花と花材の植物名その8 サンシュユ(ミズキ科)・・・種名 山茱茰=サンシュユ・・・『古流活花四季百瓶図』1778年(安永七年)に記される。 三しゆゆ=サンシュユ・・・『酒井宗雅茶会記』1787年(天明七年)に記される。 サンショウ(ミカン科)・・・…

茶花と花材の植物名その7

茶花と花材の植物名その7 コウホネ(スイレン科)・・・種名・・・コウホネの初見→本草和名918年頃 かうほね=コウホネ・・・『仙傳抄』1445年(文安二年)に記される。 河骨=コウホネ・・・『池坊専應口傳』1542年(天文十一年)に記される。 川ほね=川骨…

茶花と花材の植物名その6

茶花と花材の植物名その6 キンシバイ(バラ科)・・・種名・・・キンシバイの初見→諸禽万益集1717年 金糸梅=キンシバイ・・・『古流挿花湖月抄』1790年(寛政二年)に記される。 キンセンカ(キク科)・・・種名・・・キンセンカの初見→倭名類聚抄935年頃 …

茶花と花材の植物名その5

茶花と花材の植物名その5 カラタチバナ(ヤブコウジ科)・・・種名・・・カラタチバナの初見→新撰字鏡900年頃 かうじ=カラタチバナ・・・『替花傳秘書』1661年(寛文元年)に記される。 唐橘=カラタチバナ・・・『立花訓蒙図彙』1695年(元禄八年)に記さ…

茶花と花材の植物名その4

茶花と花材の植物名その4 オグルマ(キク科)・・・種名・・・オグルマの初見→山科家礼記1491年 ヲクルマ=オグルマ・・・『山科家礼記』1491年(延徳三年)に記される。 ヲ車ノ花=オグルマ・・・『宗湛日記』1587年(天正十五年)に記される。 をくるま=…

十五世紀から十六世紀に使用された花材と茶花

茶花 39 茶花の種類その36 十五世紀から十六世紀に使用された花材と茶花 『山科家礼記』と『仙伝抄』からは十五世紀に使用された花材、『池坊専應口傳』から十六世紀に使用された花材を取り出し、これらと十六世紀の茶会記、『天王寺屋会記』『松屋会記』『…

茶花と花材の植物名その3

茶花と花材の植物名その3 ウスノキ(ツツジ科)・・・種名 うすの木=夏ばせ=ウスノキ・・・『立花秘傳抄』1688年(貞享五年)に記される。 ウチョウラン(ラン科)・・・種名・・・ウチョウランの初見→『城和摂諸州採薬記』1817年 岩石蘭=ウチョウラン・…

茶花と花材の植物名その2

茶花と花材の植物名その2 イグサ(イネ科)・・・種名・・・イグサの初見→新撰字鏡900年頃 燈心草=イグサ・・・『生花枝折抄』1773年(安永二年)に記される。 蘭=イグサ・・・『小篠二葉伝』1787年(天明七年)に記される。 イタドリ(タデ科)・・・種…

茶花と花材の植物名その1

茶花と花材の植物名その1 茶会記や花伝書に記された植物名を整理する。茶花や花材として記された名称は、当時の呼び名であり、必ずしも現代名と同じではない。また、同じ植物と思われるものにも、いくつもの名前が書かれている。その上、書かれている名(漢…

『山科家礼記』と『尺素往来』に記された植物

茶花 38 茶花の種類その35 『山科家礼記』と『尺素往来』に記された植物 『群書類従 第九輯』「群書類従巻百四十一」(続群書類従完成会:発行)に編纂された『尺素往来』と早稲田大学図書館『尺素往来 / [一条兼良] [撰]』の『尺素往来』の植物名は、必ずし…

『尺素往来』に記された植物その2

茶花 37 茶花の種類その34 『尺素往来』に記された植物その2 ・「夏花者」 「岩藤」は、マメ科ニワフジとする。 「卯花」は、アジサイ科ウツギとする。 「停春」は、バラ科コウシンバラとする。 「芍薬」は、ボタン科シャクヤクとする。 「薔薇」は、総称名…

『尺素往来』に記された植物その1

茶花 36 茶花の種類その33 『尺素往来』に記された植物その1 次に、『山科家礼記』と同時期に書かれた『尺素往来』にも多くの植物名が記されている。『尺素往来』には、「前栽植物」(庭に植えられた植物名)があげられている。植物は、庭に限定されている…

『山科家礼記』に登場する植物・その2

茶花 35 茶花の種類その32 『山科家礼記』に登場する植物・その2 『山科家礼記』に登場する植物の種類を現代名と当時の名称を示すと以下のようになる。 ・アヤメ(アヤメ科)は、延徳四年1492四月十八日に「シヤウヒ」「アヤメ」とある。 ・イタドリ(タデ…

『山科家礼記』に登場する植物・その1

茶花 34 茶花の種類その31 『山科家礼記』に登場する植物・その1 『華道古書集成』をもとに、花材に使用される植物を十八世紀後半まで見てきた。そこで、『仙伝抄』を初めとする花道書全体で、花材の種類がどのように増えたかを整理したい。ただ、『仙伝抄…

和のガーデニング 9

和のガーデニング 9 和のガーデニングは、日本固有の貴重種を紹介したり、そのような種を保護から増殖することまでを目指している。貴重種を鉢植にして愛玩することは昔から行なわれているが、それより地植えにして生息域を広げることを目指したい。種の減…

華道書(花伝書)の花材と茶花その9

茶花 29 茶花の種類その26 華道書(花伝書)の花材と茶花その9 『挿花千筋の麓』 前後2巻から成る『挿花千筋の麓』は、入江玉蟾の著作で、明和五年(1768)に刊行されている。花材のリストと共に後巻に図が示され、花材名も記されている。この書は、「挿花…

十八世紀後半の茶花その3

茶花 27 茶花の種類その24 十八世紀後半の茶花その3 十八世紀後半の茶会記は、『茶会記の研究』によれば33程あるが、まとまったものとして見ることができたのは、「川上不白利休二百回忌茶会記」「酒井宗雅茶会記」程度である。この茶会記に記された茶花の…

十八世紀後半の茶花その2

茶花 26 茶花の種類その23 十八世紀後半の茶花その2 十八世紀後半の茶会記として、『茶会記の研究』によれば、播磨姫路藩第二代藩主・酒井宗雅(忠以)によって記された「酒井宗雅茶会記」がある。茶会は、江戸と姫路で217会催されたとされている。そこで、…