2010-01-01から1年間の記事一覧
ガーデニングバブル ・「菊合わせ」は真剣勝負の場 徳川三代の無類の花好きに象徴されるように、江戸時代に入ってからもしばらくは、身分の高い人々の嗜好によって花の流行が決定付けられた。寛永年間に流行した椿や牡丹はその代表といえる。 が、江戸も元禄…
冬牡丹は江戸文化 ・ボタンの来歴 正月にボタンやシャクヤクを飾る。『金生樹譜』には「清国の京師は北極の地にて寒気甚だしき処なれば、暖室の内に芍薬牡丹を養い盆(はち)植えとして立春の夜大内に奉り、銀燭のもとに飾り列ね、天子の御覧に供する」と図…
武士のカーデニング ・意外に広かった下級武士の庭 園芸に並々ならぬ執着を見せた武家は枚挙に暇がない。それでは、下級武士と呼ばれた人々はどうだったのだろうか。これが実は、上級武士にも劣らぬ打ち込みようであったらしい。下級武士にそれほど土地に余…
梅にまつわる話 その1 ・ウメの人気は万葉の昔から 「梅は咲いたか、桜はまだかいな」と唄の文句を引き合いに出すまでもなく、ウメはサクラと並んで、古来から多くの人々に愛されてきた。ウメは万葉の中期に日本に伝わったと言われているが、アッという間に…
大江戸野菜事情・続及び捕捉 ・「取りたて」が並ぶ江戸の食卓 初物人気と並んで中後期の江戸野菜の大きな特徴は、唐来物の普及である。例えば大衆料理キンピラゴボウに欠かせないトウガラシ、目黒名物タケノコも、登場したのは十八世紀の末と遅いが、季節感…
大江戸野菜事情 ・将軍家御用達の野菜畑 「江戸っ子の初物食い」「江戸の食い倒れ」などという言葉を聞くと、江戸の住民たちもなかなかのグルメだったように思われるが、初期のころの江戸の食糧事情は必ずしも良好なものではなかった。家康の入城、続く徳川…
武士好みの楓 ・元禄に始まったカエデの流行 深まりゆく秋を感じさせる紅葉は、花とはまた違う美しさがあって、いつの時代も日本人の心を深くとらえる。古来から親しまれてきたモミジ・カエデは、“紅葉狩り”というような行楽活動だけでなく、園芸としても広…
江戸の観葉植物 ・江戸園芸の特徴、斑入り植物の流行 江戸時代の園芸文化の特徴的なことの一つに、観葉植物の流行がある。観葉植物といえば、現代ではポトスやヤシ、ベンジャミンなど南洋リゾート的な植物をイメージする人が多く、そうしたものに江戸の人々…
百合に魅せられて ・古代からの非常食 ユリが地球上に姿を現したのは、おそらく人間よりもはるくる古いのではないかといわれている。花の美しさではキクやボタンにも勝るとも劣らないユリだが、どういうわけだか長い間、食用および医薬用としてのみもっぱら…
江戸のオープンガーデン ・庶民に無料公開し大好評 「ガーデニングブーム」の延長線上で、オープンガーデンという活動形態が、いま注目を集め始めている。オープンガーデンとは、私的な庭園の公開を目的として、1927年イギリスで発足したナショナル・ガーデ…
丁子菊から菊人形へ 1 ・菊の魅力 キクを皇室の紋所とし、民間の菊花紋使用が禁止されたのは、意外に新しく明治二年(1869年)になってからのことである。もっとも、使用した歴史自体は古く、鎌倉時代初期(十三世紀初め)に後鳥羽上皇が衣服から懐紙にいた…
丁子菊から菊人形へ 2 ・何度も出現した「菊人形」ブーム 江戸時代、盛んに行われた「菊合わせ」が、純粋に栽培技術を競う催しの代表格であるとすれば、秋の風物詩として今も当時の面影を残す「菊人形」は技術に加えて表現力、企画力などが要求されるよりビ…
第二回 5/17 その2 ★日本人の感性 ・民族によって異なる自然への感性 「立てば芍薬、座れば牡丹」と言うように、この二つの花は美人の代名詞として知られる。この表現は、シャクヤクは茎が根元からまっすぐ伸びてその上に蕾を付け、そのさまは美人の立…