2013-01-01から1年間の記事一覧
茶花 25 茶花の種類その22 十八世紀後半の茶花その1 十八世紀前半までの茶会記を見てきて、十八世紀後半の茶会記でも、茶花の種類は大きくは変わらないだろう。使用される茶花の使用頻度は、同じような順になるだろうと思っていた。そのため、これ以上先に…
和のガーデニング 5 正確な生育生態を知ろう 十二月に入ると、草花の大半は枯れ、地上から消えてしまう。地面に何も無くなると、その上を知らずに踏みつけてしまうことがある。野草の路地植えが難しい理由の一つは、いつ芽が出るかという正確な情報が少ない…
茶花 23 茶花の種類その20 華道書(花伝書)の花材と茶花その6 『立花便覧』 『立花便覧』は、『華道古書集成』第二巻の『立華時勢粧』に次ぐ花伝書で、元禄八年(1695)に刊行されている。著者は、「立花便覧序」を書いた松領山であろうが、どのような人物…
茶花 22 茶花の種類その19 華道書(花伝書)の花材と茶花その5 『立華指南』 『立華指南』は、『抛入花伝書』に続いて『華道古書集成』第一巻に綴られたものである。貞享五年(1688)に刊行されたもので、著者は不明である。「頭書立華指南に就て」には「本…
和のガーデニング 4 日本らしい花で『おもてなし』 十一月は、十月から続くキクのシーズン。旧暦の九月九日は重陽の節句、菊の節句とも呼ばれている。昔は宮中はもとより、庶民の間でも様々な行事が行なわれていたが、現代では少々縁遠い節句になってしまっ…
茶花 21 茶花の種類その18 華道書(花伝書)の花材と茶花その4 『抛入花伝書』 『抛入花伝書』は、『立花正道集』とは年号では異なるものの、西暦では同年の貞享一年(1684)に刊行された花伝書である。本書は、貞享元年(1681)、中川茂兵衛蔵板と書かれ、十…
和のガーデニング 3 ・時間の芸術(生育・開花時期の違いを活かした植栽) 日本庭園と盆栽、スケールはまったく異なるものの共通する部分は多い。さらに言えば、鑑賞に求める本質は同じではないだろうか。というのは、日本庭園も盆栽も、三次元の造形に留ま…
茶花 19 茶花の種類その16 華道書(花伝書)の花材と茶花その2 『百瓶華序』 『百瓶華序』は、『池坊専應口傳』に続いて『華道古書集成』に綴られたものである。タイトルの通り、慶長四年十月十六日に催された「百瓶華会」の序文で、慶長五年に書かれたもの…
茶花 17 茶花の種類その14 十八世紀前半の茶花その3 華道と茶花 十八世紀に入り花卉園芸が盛んになったことを述べたが、立花(生花)はそれよりもう少し早く隆盛を迎えていた。立花(生花)と茶花の関係は、無論無関係ということはなく、互いに影響を与えて…
茶花 16 茶花の種類その13 十八世紀前半の茶花その2 「槐記茶会記」は『槐記』の中に記された茶会記である。『槐記』は、近衛家煕の侍医である山科道安が家煕の言行を集め、日記として綴ったものである。家熙は、後水尾上皇の孫にあたり、学識に秀でた当時…
茶花 15 茶花の種類その12 十八世紀前半の茶花その1 十八世紀にはいると、花卉への関心はさらに高まり、園芸書が数多く刊行された。茶人がそれらの図書をどのくらい参考にしたかはわからないが、茶花の選定に少なからず影響を与えたものと思われる。茶花の…
茶花 14 茶花の種類その11 十七世紀後半の茶花・その2 『茶会記の研究』(谷晃)をもとに、茶花の記載がまとまって登場しそうな十七世紀後半の茶会記を示すと、「三菩提院御記茶会記(149)」、「反古庵茶会(126)」、「仙叟会記(144)」などがあげられる…
茶花 13 茶花の種類その10 十七世紀後半の茶花・その1 十七世紀後半、茶会は以前にも増して催されていたと思われるが、まとまった茶会記は少ないようである。『茶会記の研究』(谷晃)を見ると、茶花が二百以上登場しそうな茶会記は『伊達綱村茶会記』以外…
茶花 12 茶花の種類その9 十七世紀前半の茶花の捕捉 十七世紀前半の茶会記には、『小堀遠州茶会記集成』『古田織部茶書』に加えて『徳川実紀』に456会、『隔蓂記』261会、『江岑宗左茶書』648会、「有楽亭茶湯日記」97会などの茶会記が存在することが『茶会…
茶花 11 茶花の種類その8 十六世紀後半の茶花の捕捉 十六世紀後半の茶会を記した茶会記について、これまで示したものの他にも茶花を記した茶会記があるかを調べてみた。『茶会記の研究』(谷晃)よれば、十六世紀には「松屋会記(856)(数字は記された茶会…
茶花 10 茶花の種類その7 『古田織部正殿聞書』の茶花 『古田織部正殿聞書 古織公聞書巻之二 聞書五』に記されている茶花について、その初見を示すと以下のようになる。資料としては、『資料別・草木名初見リスト』(磯野直秀)をもとに示す。 ・辛夷=コブ…
茶花 9 茶花の種類その6 十七世紀前半の茶花・古田織部正殿聞書の検討 十七世紀(慶長年間)に入ると、茶花の種類は少しずつ豊かになり60種を超えた。最も使用された植物が、ツバキとウメという事実に変わりはないが、その次の植物としてスイセンが多用さ…
江戸時代の椿 その22 ★1850年代(嘉永~安政年間) 『剪花翁伝前編』の椿 『剪花翁伝前編』は、挿し花(生花)の花材361品の栽培法を月別にわけ、花期や栽培の留意点、早出し法などを解説している。この書は、嘉永四年(1851)園芸家・中山雄平によっ…
茶花 8 茶花の種類その5 茶会記から見る椿と梅の使用 十七世紀前半の茶会記から見られる茶花の傾向から見ると、新しい茶花を茶会に取り入れるより、茶花の基本はツバキとウメ、という決まりをより浸透させた時代ではなかろうか。 茶の湯の花と言えば、真っ…
茶花 7 茶花の種類その4 天文年間から慶安年間までの約百年間に茶花が活けられた茶会は、一千回以上ある。それらの茶会で最も多く使用された花は、ツバキ、ウメである。次いでスイセン、キクと続く。この4種で全体の60%を占めている。特にツバキとウメが…
江戸時代の椿 その21 ・『古今要覧稿』その4 和漢三才図会云椿和字(注・・ネットで表示できない文字は○で記している。) (按に新撰字鏡云椿椛揮三同勅屯反豆波水又云○○○三字豆波木とみえたりその三字棒構櫨は本邦にて造りし新撰の字なりといへども椿杶○の…
茶花 6 茶花の種類その3 慶長から明暦年間までの茶花 天正年間のあと、文禄年間にも新しい茶花が出現した可能性はあるが、茶会記からは見つからなかった。慶長年間に入り『松屋会記』慶長四年(1599)二月廿三日の茶会記に「白ボケ」が記されている。 ボケ…
茶花 5 茶花の種類その2 天文年間までの茶花 まず最初に出現する茶花は、『天王寺屋会記』他会記・天文十八年(1549)正月九日の茶会記に記された「松」である。「松」はマツとしたが、正確を期すれば、マツにはアカマツやクロマツの他に、ゴヨウマツ、タ…
茶花 4 茶花の種類その1 茶花の初見 「花は野にあるように」など、茶花には様々な決まりがあるように伝えられている。だがその大半は伝承によるもので、利休の没後かなり後になってから成立したような気がする。では、実際に茶花はどのように活けられてい…
茶花 3 古田織部茶書・宗湛日記・今井宗久茶湯日記抜書の茶花 古田織部茶書の茶花 『古田織部茶書二』(市野千鶴子)には、「織部茶会記」が掲載されている。その茶会記は、「目録」から見ると二つに分けられる。最初のグループは、『今井宗久茶湯書伐』(…
江戸時代の椿 その20 ・『古今要覧稿』その3 以下に示すのは、『古今要覧稿』巻第三百七である。 「古今要覧稿巻第三百七 ●草木部 椿下 ○和歌・・・(字数の関係もあり省略) 扶桑拾寄葉集巻二十八 百椿図序 藤原光広 このごろ花の中につばきをもてはやす、…
江戸時代の椿 その19 ・『古今要覧稿』その2 以下に紹介するのは、巻第三百六の後半である。その中には、これまでのブログに示したものがあり、重複するため省いている。また、ツバキと直接関係ない記述についても省略する。 「いはゆる大椿及び椿樗の椿の…
江戸時代の椿 その18 ★1840年代(天保~弘化~嘉永年間) 『俳諧季寄図考草木』『古今要覧稿』のツバキ ・『俳諧季寄図考草木』の「海石榴」 『俳諧季寄図考草木』は、天保一三年(1842)に梅枝軒来鴬よって刊行された図集である。図集は500余点の草…
茶花 2 天王寺屋会記の茶花 『天王寺屋会記』の茶花 『松屋会記』の茶花を調べて、十六世紀半ばから17世紀半ばまでの約百年間の傾向や変遷がある程度見えてきた。となると、『天王寺屋会記』にも興味がそそられる。ただ、『天王寺屋会記』について、史料と…
江戸時代の椿 その17 ★1830年代(天保年間) 『本草図譜』『桃洞遺筆』のツバキ ・『本草図譜』 『本草図譜』は、岩崎常正によって天保元年 (1830)に刊行された我国初の植物図鑑。約2000種の植物を96巻(5巻から始まるため92冊)に分け、彩色写生し解説…