山野草が生育できるような整備

1-3 生育環境の整備山野草が生育できるような整備)
イメージ 1  山野草の生育を阻むのは、環境の急激な変化です。一日のうちで温度が40℃を超えたり、氷点下になったりする場所は、山野草の生育に向きません。雨が降れば水浸し、晴れるとカラカラに乾く場所も、山野草はもちろん、他の植物にとっても適しているとは言えません。しかし、そのような場所でも手を加えることによって徐々に環境変化を緩和し、山野草が生育できる環境へと変えることができます。宅地造成後放置され、裸地化して雑草が繁茂する場所でも、高木を1本植えれば、樹下の環境は一変します。また、地形を変えたり、池を掘ったり、さらに多くの木を植えれば、植栽環境は著しく改善します。
① 木を植えることによって日照と風を防ぎ、樹下の湿度や温度変化を軽減させます。真夏には直射日光、冬の霜や凍結、強雨による根元の侵食などを防ぎます。
イメージ 6 一本の灌木の下でも、野草の生育は可能です。樹冠の下は、直射日光を緩和し、強雨や強風を防ぎ、温度や湿度の急激な変化はかなり減少します。そのような野草が生育できる環境形成に適した灌木としてイメージ 5アセビシャクナゲジンチョウゲなどの常緑樹があります。
 高木としては、ツバキ、モクセイ、シラカシクスノキなどが適しています。植栽地が広ければ、何本かの高木を植込み、より安定した環境が形成できます。その場合は、常緑樹にこだわらず落葉樹でもかまいません。
②  逆に、個人の庭では多くの植物が植えられ、半日どころか3時間以上陽の当たらない場所があります。そのような場所では、日陰となる樹木の剪定と伐採が必要です。さらに、既存の草花についても撤去や移植が必要です。過密に植えられていると、日当たりだけでなく通風も悪く、病気や害虫が発生しやすくなります。丹精した植物は抜き取り難いですが、どこかで決断しなければなりません。
イメージ 2③ 池とまでいえない窪みを堀り、傾斜面をつくれば、山野草の環境改善に大きく寄与します。乾燥気味の土は、窪みとなることで周囲より湿気が高くなります。また、傾斜地は降雨が浸透しにくくなり滞水を防ぎます。さらに滞水気味の場所には、石を積み、その上に植えることで土壌の滞水を防ぎます。なお、乾燥気味になれば、鹿沼土を混ぜることで土壌が改良されます。
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④ 部分的な環境整備として石や岩を置くことを提案します。この改良方法は、たまたま発見したものです。石の近くに植栽した植物が少しずつ移動して、石の下に根を張っていることがわかったのです。石があることで、強い降雨を軽減し、水滴は下の土に浸透し周りの土より湿っています。また地温も安定していて、強風を防いだり、日陰を作ったりと、急激な変化を緩和しまイメージ 4す。コンクリートの隙間に植えたヒトリシズカが良く生育しているのを見ると、同様な効果があるのかと思います。