和のガーデニング

2 植栽

2 植栽 2-1 植栽(移植)時期 山野草の栽培する上で最も必要なのは、山野草の生態を知ることです。いつ芽を出し、生育して蕾を持ち開花、そして枯れて消えるか。山野草の露地植えが難しい理由の一つは、いつ芽が出るかという正確な情報が少ないことです…

レンゲショウマを訪ねて

レンゲショウマを訪ねて 関東地方には、東京から日帰りのできるレンゲショウマの群生地がいくつかあります。今年の夏は暑く、少々バテ気味なので、三ツ峠はあきらめて高尾山と御岳山に出かけました。 ★高尾山 最も楽なのは高尾山。東京駅から高尾山口まで1…

山野草が生育できるような整備

1-3 生育環境の整備(山野草が生育できるような整備) 山野草の生育を阻むのは、環境の急激な変化です。一日のうちで温度が40℃を超えたり、氷点下になったりする場所は、山野草の生育に向きません。雨が降れば水浸し、晴れるとカラカラに乾く場所も、山野…

ササユリの群生地を訪ねて

ササユリの群生地を訪ねて(白川郷~高山) 富山空港には定刻より10分ほど早く着陸、連絡バスで富山駅に向かう。所要時間は22分なので、白川郷行きバスの発車時刻には13分の余裕がある、と思っていた。ところがバスを降りると、点滅する信号の先には白川郷行…

植栽地の環境を整える(乾湿)

和のガーデニング3 植栽地の環境を整える 1-2 土壌条件(乾湿) 土壌中の水分は、植物の生育に大きな影響を与えます。水浸し場所から、乾燥した場所まで土壌の条件はいくつかに分けられます。ただ、土壌中の水分が植物に与える影響は、水分が停滞するか入…

植栽地の環境を整える

和のガーデニング 2 1 植栽地の環境を整える 山野草を育てるのに最も重要なのが環境形成です。安定した環境が成立すれば、さほど手を入れなくても山野草は生育します。マンションのベランダだから、裏庭で狭く日当たりが悪いから、などとあきらめている人…

和のガーデニングを始めましょう

和のガーデニングを始めましょう はじめに 日本は、世界で最も草花の種類が豊富な国です。日本ならではの美しい花が四季折々に咲き、日本人の感性を豊かにしてきました。そのような花をもっと身近に鑑賞できることを願って、山野草による和のガーデニングを…

冬の草花

和のガーデニング 17 冬の草花 十二月に入ると、草花の大半は枯れ、地上から消えてしまう。冬の庭に咲く花としては、ウメやスイセンなどが定番となる。それに加えて花とはいえないが、胞子をつける葉が花のように見えるフユノハナワラビがある。また、茎から…

晩秋の草花

晩秋の草花 十一月の花としては、十月からまだ咲いているシロヨメナ・ナンバンギセル・フジバカマ、時折咲くシロバナタンポポ、ハマナデシコに加えて、イソギク・カントウヨメナ・ノジギク(リュウノウギク)・ツワブキ、これから咲き始めるスイセンなど花の…

秋の草花

秋の草花 十月に入ると、日を追って咲いている花の種類は少なくなる。花が終り結実し、地上部が枯れ始める季節である。この頃から十二月の初めにかけては、宿根草の株分けに適した季節である。株分けに際しては、根の張り方や太り具合を確認し、以後の管理を…

初秋の草花

初秋の草花 夏の暑さは、年々厳しくなっている。例年なら、炎天下にもよく耐えるツリガネニンジンやワレモコウなども、近年は枯れそうなくらいに弱る。酷暑は山野草にも影響を与え、そのせいか秋の花の開花が遅くなっているのではないかと思われる。九月は、…

盛夏・東京オリンピックの草花

盛夏・東京オリンピックの草花 2020年8月、東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、ぜひ外国から訪れた人々を「日本の花」で「おもてなし」したい。世界各国から集まるオリンピックは、日本の「花」を全世界にアピールする絶好の機会でもある。日本…

夏の草花

夏の草花 カワラナデシコ、キキョウ、ノカンゾウ、ハンゲショウ、フシグロセンノウ 梅雨明けはその年によって違うが、花は毎年同じような時期になると咲き始める。。草取りを考えると、七月に入っての長雨は、気温が高いこともあって、枝葉が著しく繁茂し困…

梅雨の草花

梅雨の草花 オカトラノウ、クガイソウ、コシジシモツケ、ソバナ、トリアシショウマ 山野草の植栽(特に植え替え)時期としては、四月から梅雨に入る直前を薦めたい。鉢植の場合は、根の動き出す直前か、根が休眠している時期が最適とされている。たが、ここ…

初夏の草花

初夏の草花 エビネ、タツナミソウ、チョウジソウ、ヒメカンゾウ 五月に咲く草花(東京周辺)を紹介すると、まずアヤメ類(イチハツ、カキツバタ、ハナショウブ等)、エビネ、クリンソウ、シャクヤク、シラン、セキチク、セッコク、タツナミソウ(コバノタツ…

行春の草花

行春の草花 クマガイソウ・ヤマシャクヤク・ヤマブキソウ・ラショウモンカズラ 四月は三月から咲いている花に加えて、イカリソウ・キランソウ・キンラン・クマガイソウ・サクラソウ・ヒメウズ・ヤマシャクヤク・ヤマブキソウ・ラショウモンカズラなど様々な…

春の草花

春の草花 ニリンソウ・キクザキイチゲ・ユキワリイチゲ・ショウジョウバカマ 三月に入ると、野草は一斉に咲き始める。中でもキンポウゲ科のニリンソウやキクザキイチゲなどは、春の到来を告げる花として魅力的である。ニリンソウは、その若葉を山菜として食…

早春の草花

早春の草花 シロバナタンポポ・ヒロハノアマナ・フクジュソウ・ミスミソウ 二月に入ると、多くの植物が一斉に活動をはじめる。とは言っても、咲いている花はまだ少ない。もっとも、前年から咲いているスイセン、シロバナタンポポ、渋いところではフユノハナ…

・ゆとり

1-3 ・ゆとり 新しい東京駅八重洲口広場を見たかと問われ、早速出かけた。建物を出ると、先ず目に入ったのが株立ちの高木、林立していた。これが東京駅八重洲口広場のイメージとなるのか、と思いながら近づいた。常緑の葉を見ると、この木はシマトネリコであ…

1-3 和のこだわり

1-3 和のこだわり ・図と地の関係 東京は、刻々と変わっている。建物や道路だけでなく、植物も変化しており、その変化は追いかけきれない。それでも、新たな植物景観ができたという情報があれば、できるだけ見るようにしている。見て感じるのは、日本らし…

日本の気候風土とガーデニング

1-1 日本の気候風土とガーデニング ・七十二候にも及ぶきめ細かい変化 世界で最も細やかな日本の四季、その被類なき美しさは体験した者にしかないとわからないであろう。日本の自然は日々移り変わり、行きつ戻りつしながら、他国にはない美しさを見せてい…

和のガーデニング はじめに

和のガーデニング はじめに 環境緑化新聞への連載を2014年12月で終了することで、これまで記した内容を整理補足し、順序立てて示す。 はじめに 「和のガーデニング」を薦めようと決意したのは、ドイツの造園家を都内の公園に案内したことによる。夕方に近づ…

和のガーデニング・補足1

補足1 昭和記念公園は、景観のつくり方、見せ方にいくつもの問題点がある。まず、最初の見せ場とな入口のカナールは、あけぼの口から緩やかな丘を登ると、遠くに噴水などが見える。さらに進み、入場門近くになると噴水・カナールは見にくくなり、門を潜り進…

和のガーデニング・補足2

補足2 昭和記念公園は、180ヘクタールにおよぶ日本を代表する国営公園である。この公園は私の好きな公園の一つで、一日居ても楽しく飽きない魅力がある。これが市民公園であれば、何もいうことはない。が気になるのは、「昭和記念」という時代を冠してい…

和のガーデニング 16

和のガーデニング 16 十一月の花としては、イソギク・カントウヨメナ・菊類・シロバナタンポポ・スイセン・ツワブキ・ナンバンギセルなど限られる。これらの植物は大半がキク科の植物である。イソギクは、草丈30~40㎝程の多年草で、花は、茎の先端に鮮やか…

和のガーデニング 9

和のガーデニング 9 和のガーデニングは、日本固有の貴重種を紹介したり、そのような種を保護から増殖することまでを目指している。貴重種を鉢植にして愛玩することは昔から行なわれているが、それより地植えにして生息域を広げることを目指したい。種の減…

和のガーデニング 5

和のガーデニング 5 正確な生育生態を知ろう 十二月に入ると、草花の大半は枯れ、地上から消えてしまう。地面に何も無くなると、その上を知らずに踏みつけてしまうことがある。野草の路地植えが難しい理由の一つは、いつ芽が出るかという正確な情報が少ない…

和のガーデニング 4

和のガーデニング 4 日本らしい花で『おもてなし』 十一月は、十月から続くキクのシーズン。旧暦の九月九日は重陽の節句、菊の節句とも呼ばれている。昔は宮中はもとより、庶民の間でも様々な行事が行なわれていたが、現代では少々縁遠い節句になってしまっ…

和のガーデニング 3

和のガーデニング 3 ・時間の芸術(生育・開花時期の違いを活かした植栽) 日本庭園と盆栽、スケールはまったく異なるものの共通する部分は多い。さらに言えば、鑑賞に求める本質は同じではないだろうか。というのは、日本庭園も盆栽も、三次元の造形に留ま…