十八世紀後半の茶花その2

茶花    26 茶花の種類その23
  十八世紀後半の茶花その2
  十八世紀後半の茶会記として、『茶会記の研究』によれば、播磨姫路藩第二代藩主・酒井宗雅(忠以)によって記された「酒井宗雅茶会記」がある。茶会は、江戸と姫路で217会催されたとされている。そこで、『酒井宗雅茶会記』(粟田添星)から、茶花が活けられた茶会を調べると129会あり、その中には花の名がでてこない茶会記が2会あり、したがって私が検討したのは127会となる。
  登場する茶花の種類は46種、最も多いのはスイセン12%、ついでウメとキクが11%、ツバキ7%の順である。その他の花として、アジサイ、ウツギ、ナタネ、フジ、ムクゲ、ナツツバキ、リンドウ、レンギョウなどがある。主な花の種類はあまり変わらないが、ツバキが最も多いという、これまでのパターンではない。個々の茶花について示すと、以下のようになる。
イメージ 1  アオイは、「葵」と記載されている。
  アサガオは、「白ノ朝顔」「瑠璃蕣花」と記載されている。
アジサイは、「あちさい」「白あちさい」などと記載されている。
  アヤメは、「白菖蒲」と記載されている。
  アワモリショウマは、「あはもり」と記載されている。
  アンズは、「杏花」と記載されている。
  ウツギは、「卯花」「島うつき」「卯のはな」などと記載されている。
  ウメは、「白梅」「未開紅」と記載されている。
  ウメモドキは、「梅もとき」と記載されている。
  オオヤマレンゲは、「大山蓮華」と記載されている。
カイドウは、「海棠」と記載されている。
  カキツバタは、「杜若」と記載されている。
  カシワは、「青かしは」と記載されている。
キカシグサは、「木歌し」と記載されている。
キクは、「寒菊」「黄菊」「白の菊」などと記載されている。
クワイは、「ゑんび菜」「くはい」と記載されている。
ケイトウは、「鳥頭」と記載されている。
  コブシは、「こぶし」と記載されている。
  ザクロは、「柘榴」と記載されている。
  サザンカは、「山茶花」と記載されている。
  サンシュウは、「三しゆゆ」「さんしゆつ」と記載されている。
  シャクヤクは、「芍薬」と記載されている。
  シュウカイドウは、「秋海棠」と記載されている。
  スイセンは、「水仙」「浅黄水仙」と記載されている。
  ソバは、「蕎麦」と記載されている。
  ソラマメは、「そらまめの花」と記載されている。
  ダイコンは、「大根」と記載されている。
  ツバキは、「白玉」「紅ノ椿」「飛入椿」などと記載されている。
  ナタネは、「菜花」「菜」と記載されている。
  ナツツバキは、「しやらさう樹」「夏椿」「沙羅双樹」と記載されている。
  ナデシコは、「なてしこ」と記載されている。
  ハクチョウゲは、「白丁花」と記載されている。
ハシバミは、「はしばミ」と記載されている。
  ヒルガオは、「ひるかほ」と記載されている。
  フクジュソウは、「福寿草」と記載されている。
  フジは、「白藤」「藤の芽出し」などと記載されている。
ボケは、「ボケ」と記載されている。
  ボタンは、「牡丹つぼみ」と記載されている。
  マンサクは、「まんさく」と記載されている。
  ムクゲは、「白はちす」「むくけ」などと記載されている。
  モクレンは、「柴木蓮」と記載されている。
ヤナギは、「いのころ柳」「柳」と記載されている。
  ヤマブキは、「山吹」と記載されている。
  リンドウは、「白竜胆」と記載されている。
  レンギョウは、「連翹」「連堯」と記載されている。
ロウバイは、「蝋梅」と記載されている。
  新たに登場した茶花を示すと、クワイ、サンシュウ、ダイコン、アワモリショウマ、アンズ、カシワ、キカシグサ、ソバ、ソラマメ、ハクチョウゲ、マンサクの11種となる。