夏の草花

夏の草花
カワラナデシコ、キキョウ、ノカンゾウハンゲショウ、フシグロセンノウ
  梅雨明けはその年によって違うが、花は毎年同じような時期になると咲き始める。。草取りを考えると、七月に入っての長雨は、気温が高いこともあって、枝葉が著しく繁茂し困りものだ。そのため、雨の合間の草刈や引抜きは、不可欠な作業である。その時注意すべきは、現在咲いている植物には気づくが、これから咲く花や咲いてしまった植物は見過ごされやすいということ。雑草と共に野草も刈り払ってしまうことがあり、是非とも注意してもらいたい。
  七月の花としては、アサガオ・アズマギク・オオバギボウシオミナエシカワラナデシコ・キキョウ・ギボウシ・ソバナ・ツリガネニンジン・ツリフネソウ・ノカンゾウハンゲショウヒオウギ・フシグロセンノウ・ミソハギヤブカンゾウヤマユリ・レンゲショウマなどがある。これらの植物の中から、カワラナデシコ、キキョウ、ノカンゾウハンゲショウ、フシグロセンノウを紹介したい。

カワラナデシコ
イメージ 1 カワラナデシコナデシコ科の多年草で、草丈は30~50cm程(なお、長さは1m程まで伸びる)である。茎の先端に淡紅色の花(4~5cm)をつける。草丈が低く、あまり自己主張をしないため、根締めや他の花の背景になるなど、使い勝手のよい植物である。白い花もあり、清楚で可憐な外見から、カワラナデシコはヤマトナデシコとも呼ばれた。もっとも、近年の女子サッカーの活躍から、ナデシコのイメージも旧来とは変わりつつある。また、ナデシコといえば、以前はカワラナデシコを指していたが、近年では園芸品種が数多く作られ、園芸店ではダイアンサス(外国原産の園芸品種)が大半を占めている。
イメージ 20 カワラナデシコは、真冬でも日だまりでは完全に枯れずに残っている。3月半ばから新芽を出し始める。株分け移植は、夏と冬以外であればいつでも移植できる植物である。土壌は、過湿にならないように注意が肝要、そのため傾斜地にすれば土質にこだわらなくてよい。日当たりのよい方が花を付けるが、西陽や直射日光が長時間当たらないようにしたい。管理は容易で、乾燥した時に散水する程度で十分な植物である。なお、根が混みすぎると蒸れて、病気が発生しやすくなるため、3年に一度くらいは株分け移植をした方がよい。花は、七月から八月までと長く咲き、さらに秋が深まって再び咲くこともある。カワラナデシコの植え方としては、まとまって群植するのもよいが、他の花、たとえばフシグロセンノウ、ツリガネニンジンなどを加えると趣が増す。
イメージ 3
 イメージ 2 和のガーデニングとして、ナデシコの仲間であるイセナデシコを紹介したい。イセナデシコセキチクの変種で、花びらが何本にも分かれ、細く伸び、垂れ下がるのが特徴である。今日では名前も忘れられてしまったナデシコだが、西洋種のナデシコが多い今日、江戸時代にはイセナデシコのような花が持てはやされた。花の好みは時代と共に変わるものだが、多彩な花色を持ち、幽玄の美を感じさせるイセナデシコ、鑑賞に値する植物としてもう少し注目されるようになって欲しい。

キキョウ
イメージ 4  キキョウはキキョウ科の多年草で、草丈は0.3~1.0m程である。花は、まず茎の先端に紫色(白色やピンクも)の花が咲き、続いてその下にも蕾をつける。そのため、花期が長い。また、花が萎んだ後、葉がしっかり付いている部分まで(根より1/3)茎を切り戻せば、再び蕾を付け、花期はさらに伸びる。何本かまとめて群植したキキョウも見応えがあるが、オレンジ色の花が咲くカンゾウ類と混植するとキキョウの存在感はさらに際立つ。
 イメージ 5 キキョウは、ナデシコとともに秋の七草の仲間であるが、実際は夏の花である。また、ナデシコと同様に園芸種がたくさんあり、花屋などでは、在来のキキョウとはまったく違う花形の種(一年草トルコギキョウなど)が目に着く。
イメージ 6  キキョウは、3月下旬頃から芽が出て、開花は6月から始まるが本格的には7月である。株分け移植は、芽の出る頃までが最適であるが、夏と冬以外であればいつでも可能である。土壌は、砂壌土くらいの方が良く、多少肥沃を好むが、あまり土質を選ばす比較的栽培の容易な植物である。ナデシコと同様、水はけの良い場所に植栽したい。キキョウは日当たりを好むが、夏の長時間の直射日光はできれば避けたいので、他の植物と混植を提案したい。なお、混植すると、被圧されたり、根が生育を妨げられる心配があるものの、それでも、混植すると根元は乾燥せず、根が熱せられない利点がある。
 
イメージ 7
キキョウは、地植えでも株分けは必要で、根の更新のためにも3~5年位で実施したい。繁殖は、株分けだけでなく、播種、挿し芽などでも容易である。キキョウの取扱は比較的容易であるが、あまり庭や公園に植えられていないような気がする。また近年、自生するキキョウは減少しており、絶滅危惧II類に指定されている。公園などにもっと積極的に植栽することを期待したい。

ノカンゾウゼンテイカヤブカンゾウ
イメージ 8  ノカンゾウユリ科多年草である。草丈は1.0m程であるが、ヤブカンゾウは1mを超えることが少なくない。花は、葉のあいだから伸びる太い茎の先に着け、百合に似た形で橙色である。遠くから見るとゼテイカニッコウキスゲ)やヤブカンゾウと似ているが、花の形は微妙に違う。また、近年には、園芸品種のヘメロカリスが植えられるようになって、似たような花を見る機会が増えた。
 イメージ 9 ノカンゾウは夏らしい色彩で見る目を楽しませ、炎天下にも耐え、土壌条件の悪い場所でも生育する強靱な植物である。植栽後の管理も楽で、日照りに負けても枯れるということはなく、散水の必要がないと言っても良いくらいである。ただ、開花時期にアブラムシが付き見苦しくなることがある。拡散しない前、少ないうちに除去すれば被害は広がらない。
 イメージ 10 ノカンゾウは、東京周辺では二月下旬頃から芽を出し、六月の半ば頃から咲き始め、七月末まで咲いている。ノカンゾウの早く咲く花は、赤みが少なく黄色に近く、ゼンテイカと交配したのではなかろうかと思われる。ヤブカンゾウは、ノカンゾウより少し遅れて咲き、八月も咲いている。ノカンゾウヤブカンゾウは、葉だけだとよく似ているため判別しにくいが、根の張り方から見分けられる。ヤブカンゾウは根で繁殖するため、根の先に芽が出ているが、ノカンゾウの根の先端は細いままである。
イメージ 11
イメージ 12  移植は、夏と冬を避ければいつでも可能で、最適は芽出しの直後と秋の枯れた後ある。株分けも同様であるが、ヤブカンゾウは繁殖力が旺盛で根が広がらないように除去しなければならない。除去を芽が出た頃にすれば、掘り起こしした芽は食べることができる。家庭の庭でも、収穫可能で、一度くらいは食べてみることを勧めたい。
 植栽にあたっては、取扱が容易なことから、他の植物との混植に適している。その時注意すべきは、他の植物を被圧したり、根を侵食させないことである。狭い庭では、ヤブカンゾウは広めのポットに入れて植え込むことも必要である。混植する草花として、カワラナデシコ、キキョウ、ハンゲショウミソハギなどがあげられる。

ハンゲショウ
イメージ 13 ハンゲショウドクダミ科の多年草である。草丈は、0.3~1.0mである。夏至に近づく頃(半夏生)から、葉の付け根から白い穂状花序を出す。そして花の根元から出る葉が白く変化する、そんなことからハンゲショウ半夏生・半化粧)と付けられたのだろう。ハンゲショウが芽を出すのは遅く、周りの植物が伸びた五月になってからである。それでも負けずに生育し、夏の強い陽差しにも耐え、存在感を示す。特別な手入れは必要なく、逆に繁殖しすぎるのを防がなければならないほど強靱な植物である。
イメージ 14  この植物が遅く芽が出ても生育するのは、耐陰性だからで、半日陰でもよく育つ。しかし、日に当てた方が生育もよく、葉の白斑もきれいである。なお、ハンゲショウは葉を鑑賞するが花も咲く。六月下旬から七月に、茎の先端に15cm程の白い小花を穂状に着ける。自生地は多少湿った場所が多いが、土質は選ばず、多少風通しが悪くても日が当たれば問題ない。非常に強靱で繁殖力も旺盛なため、狭い庭では一面を占めてしまうことから、区域を区切るかポットに植え込んで根の広がりを制限した方がよい。
 
イメージ 15
ハンゲショウを群植すると、白い葉が清涼感をもたらし、すっきりした景色となる。また、他の植物と混植するのも面白い。たとえば、カンゾウ類と混植する。他の花を引き立て、夏らしいメリハリのある庭となる。さらに、薦めたいのがスイセンを加えること。もちろん同時には咲かないが、冬から春、ハンゲショウの枯れている時に咲いて美しい景色をもたらしてくれる。

フシグロセンノウ
 イメージ 16 フシグロセンノウは、ナデシコ科の多年草である。草丈は、0.4~0.8mである。花は、分枝した茎の先に朱紅色の2.5~3㎝程の萼を付ける。花期は七月から九月頃まで続くが、八月以降は散発的である。フシグロセンノウの芽出しは三月末頃、ガンピセンノウとほぼ同じ頃である。周辺に植物があると、あまり目立たず見逃してしまう。その後も、注意していないとわかりにくい植物であるが、開花すると一目瞭然、一際目立つ。山野草ならぬインパクトのある色彩で、フシグロセンノウの花色に憧れて植栽する人が多い。
イメージ 17  栽培は、鉢植にして鑑賞するのも素晴らしいが、草藪状の中に見るのも野趣がある。フシグロセンノウの植栽地は、やや日の当たる場所で、乾燥しにくいこと。移植は、四月初旬頃なら容易だが、成長後は難しい。管理で気をつけたいのは、夏季の乾燥である。地植えの難しい植物とは感じないが、どういうわけか我が家では、3年ほど植えていると消えてしまう。どうも、東京周辺では、地植えで同じ株を永続させることは難しそうだ。
  イメージ 18そこで、苗を育てようと、種から増やすと共に、挿し木を行なった。種は、思いがけないところに飛ぶようで、友人に差し上げた鉢から芽が出て花も咲いたとの報告を受けた。挿し木は、花の咲く前ではなく九月、花の終わった茎を12㎝位に切り、何本か鉢に挿した。発根剤など使わなかったが、芽は半数以上出て活着した。
  フシグロセンノウは、同じ時期に咲くガンピセンノウとよく似た花だが、独特の魅力がある。フシグロセンノウは気難しい植物のようだが、それゆえに植えてみたいという気持ちをそそる花である。カワラナデシコキツリフネツリガネニンジンなどと混植すると、さらにフシグロセンノウの美しさが引き立つ。
イメージ 19