2012-01-01から1年間の記事一覧

江戸の盆栽 7

江戸の盆栽 7 盆栽(はちうゑ)の値段 6 ★貳分 貳分という額は、今の10万円に相当する。その大半は、盆栽仕立のものであろう。 「長島オモト」は、オモトの園芸品種であろう。徳川家康が江戸城入城した際に、三河の国の長島長兵衛から贈られた斑入りのオモ…

茶庭 12 古田織部その3

茶庭 12 古田織部その3 古田織部の作庭 織部がつくったと伝えられる庭が南宗寺にある。この庭は、森蘊が「戦災で荒れはてていた南宗寺本坊の方丈建築の復興に伴い、庭園の修理を依頼されたので、詳細に実測し、土砂が堆積し石組がかくれたところがあるので…

江戸の盆栽 6

江戸の盆栽 6 園芸第一巻第二号 より編集 盆栽(はちうゑ)の値段 5 ★貳朱 貳朱という金額は、今の2万5千円ぐらい、少々高価な植物である。 「松平班たちばな」は、松平班という斑のある、ヤブコウジ科の「カラタチバナ」。「カラタチバナ」は「百両金」…

茶庭 11 古田織部その2

茶庭 11 古田織部その2 茶の湯隆盛に伴う路地の発展 茶の湯が盛んになれば、当然、数寄屋(茶室)と路地の整備が増えてくる。十七世紀に入ると、路地が数多くつくられるとともに様々な形態の路地がつくられたものと思われる。多様な路地がつくられていたこ…

江戸の盆栽 5

江戸の盆栽 5 盆栽(はちうゑ)の値段 4 ★三百文の植物 三百文というのは、今の金額でいうと9,375円。気軽に購入できる額ではないと思われる。 「たこ作り梅」は、ウメの作りものの盆栽であろう。 「石菖有栖川」は、サトイモ科の「セキショウ」の園…

江戸の盆栽 4

江戸の盆栽 4 「たこ作り」と「しの作り」(盆栽の値段 3) 次の百五十文の植物に、「たこ作り」「しの作り」という言葉が出てくる。江戸時代の盆栽に、蛸作り、篠作りという樹形があったのだろう。現代の盆栽の本などで示される樹形としては、「直幹」「…

江戸の盆栽 3

江戸の盆栽 3 盆栽(はちうゑ)の値段 2 江戸の庶民は、どこで盆栽を買っていたのだろう。そんな疑問に答えてくれる絵がある。『江戸名所図会』にある植木市の絵だ。場所は、茅場町の日枝神社、薬師堂門前。現在の東京駅から東に1㎞少々の位置、日本橋か…

茶庭 10 古田織部その1

茶庭 10 古田織部(1544~1615年)その1 織部の茶の湯と茶書 吉田織部(重然)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に仕えた武将である。重然(織部)の名が茶会記に初めて記録されるのは、四十歳の時である。若い頃は茶の湯に関心がなかったようだ。利休の死…

江戸の盆栽 2

江戸の盆栽 2 盆栽(はちうゑ)の値段 1 江戸時代の盆栽は、どのくらいの価格で売られていたのだろう。嘉永五年(1852)、コオモトが流行し、三両以上の高額の盆栽の売買が禁止された。このように園芸植物はバブル現象を起こしていたから、とてつもない金額…