江戸・東京市民の楽しみ(昭和時代)364
敵の宣伝ビラ・流言輩語二十・二十一日
敵は盛んに宣伝ビラをまくようだと二十日
朝日新聞は、硫黄島での「敵機動部隊を捕抱捉猛攻」と報告している。
清沢は、二十日日記に「敵は盛んに宣伝ビラをまくようだ。これに対して、ただ聞くな、見るな、話すなと三猿主義をとっている」と軍部などを批判している。
流言輩語が盛んに二十一日
朝日新聞は「敵機動部隊猛攻の戦果拡大」と硫黄島の報告している。
「どの新聞も流言輩語が盛んになったこと、その原因が政府が事態を発表しないことからきていることを書くようになった。『朝日新聞』の本日の社説『民心の奥に要塞を築け』と いうのもそれだ。同社説には『赤飯とらっきようを食えば爆弾に当らない』という迷信が流行しているとある。『ドイツが前大戦において突如内部より崩壊したのも、政治的判断と現実感との欠如のために迫り来る危険を認めることができなかったからである』と言っているのはよほど の奮発だ。 今日、お昼のラジオで、硫黄島の勇士が、最高指揮官を先頭に玉砕したことを伝えた。敵自身の発表によっても確か二万近くの死傷者ありとのことで、日本軍がいかに奮闘したかがわかる。ああ」と、清沢は嘆いている。
高見は「今朝、四時に妻が騷へ行って、切符賣場の前に二時間並んで、やっと三國行の切符が買えた。明朝もう一枚入手できたら、疎開の荷物を妻と二人で三國へ運ぶつもりだ。その準備をしていると、三時の報道。硫黃島玉碎の発表。栗林司令官の電文をアナウンサーが淚でぬれた馨で傳えた。胸がこみあげてきた。硫黃島で怨みをのんで死んだ人々のことを考えると、安閑として生きていることが、何か申しわけない氣がした」と。