2019-01-01から1年間の記事一覧

庶民の元気を示す見世物

江戸庶民の楽しみ 83 庶民の元気を示す見世物 見世物に関する情報は、江戸や大坂など主要都市をはじめ、全国レベルで行き交っていた。大坂で人気を呼んでいる出し物があると聞けば、すぐに江戸の香具師が出かけていって品定めをし、ものになりそうな見世物で…

盛り上がる寄席

江戸庶民の楽しみ 82 盛り上がる寄席 寄席が江戸で常設となったのは、大坂から下った岡本万作という男が、町の辻々にビラを張って神田豊島町の藁屋の二階で興行した1798年(寛政十)である。なお、寄席が初めて開設されたのは、それよりも約五十年前(延享二…

富籤に託した一攫千金の夢

江戸庶民の楽しみ 81 富籤に託した一攫千金の夢 一鉢の植木が時にとんでもない利益を生むことから、園芸で身を立て、成功をおさめる者がでる一方、本業を放り出して、落魄する者もあったことが『遊歴雑記』に記されている。いつの世にも、一攫千金を夢見る者…

庶民を巻き込んだ園芸のバブル

江戸庶民の楽しみ 80 庶民を巻き込んだ園芸のバブル 一八〇四年(文化元)頃に、堀切村(現葛飾区)の百姓小高伊右衛門が安積沼から菖蒲の苗を移植し菖蒲園作りに着手した。また、佐原鞠塢が寺島村に花屋敷(新梅屋敷、現在の向島百花園)を開いている。 一…

十九世紀初頭

江戸庶民の楽しみ 79 十九世紀の江戸は庶民の都市となる 文化・文政年間(一八〇四~三〇年)は、江戸庶民による行楽活動が一段と盛んになった時代である。幕府の政治力・財政力が衰退する一方、農村にも商品経済が浸透し人々の生活は豊かになっていった。ま…

江戸庶民の楽しみ 78

江戸庶民の楽しみ 78 寛政年間 ★天明九年・寛政一年1789年 2月 柳橋大のし楼屋で咄の会第三回を催す 3月 回向院での駿河富士本宮浅間開帳を含め開帳3 春頃 葺屋町で栗鼠の軽業興行 夏頃 深川八幡での成田山開帳(奉納物多ク参詣人多数)を含め開帳5 6月 山…

江戸庶民の楽しみ 77

江戸庶民の楽しみ 77 ★天明四~八年 ★天明四年1783年の主な娯楽・行楽関連の事象 1月7日 浅草甚賑也 1月 中村座で『筆始勧進帳』初演 1月24日 吾つま橋際地蔵尊百万遍の菓子を往来へ投与ふるゆへ人群集、浅草群行賑也 閏1月2日 浅草参詣、境内賑也 2月1…

江戸庶民の楽しみ 76

江戸庶民の楽しみ 76 天明一~三年 ★安永十年・天明元年1781年の主な娯楽・行楽関連の事象 1月18日 凌雲院大師へ、大熱閙人叢分かたし、清水参詣、山内(上野)群集 2月1日 浅草参詣、本堂にて談儀、参詣賑し 2月朔日より 浅草妙音寺にて鎌倉名越谷長…

江戸庶民の楽しみ75 安永七~九年

江戸庶民の楽しみ 75 安永七~九年 ★安永七年1778年 1月3日 湯島への塗中礼者多し、中町より山下弘徳寺塗中市の如く群集 1月18日 塗中群集夥し、風神門わき太神宮へ行人熟閙押分難し、芥子蔵鉄輪を切、帰る塗中猶群集 1月 中村座で『國色和曽我(カイドウイロヤ…

安永四~六年

江戸庶民の楽しみ 74 安永四~六年 ★安永四年1775年 1月 中村座で『垣衣恋写絵』仲蔵の大日坊と葱売り所作大評判 2月25日 加賀前より湯島参詣人叢分かたし 3月 深川八幡で勧進相撲 3月17日より 回向院にて、京清水圓養院開帳手観世音開帳 3月29日より …

安永年二~三年

江戸庶民の楽しみ 73 安永年二~三年 江戸庶民の行楽情報の多くを『武江年表』から得ていた。だが、柳沢信鴻の日記を見るにつれて、それだけでなく加えて、もっと多くの情報が記されていた。信鴻の日記に注目するのは、訪れた行楽地の混雑状況、「大群集」や…

★天明四年冬・十月~十二月

江戸庶民の楽しみ 72 ★天明四年冬・十月~十二月 ★十月 朔日○九過よりお隆同道浅草参詣(略)富士前より(略)日長原にて烟を弄し(略)車坂より出、元良院墓を見る(略)風神門(略)伊勢屋に休む、少しあつき故小袖一つに成 単羽織着る、薩埵拝し(略)御手洗へ鰻廿七…

★天明四年秋・六月~九月

江戸庶民の楽しみ 71 ★天明四年秋・六月~九月 ★六月 四日○八半前よりお隆同道浅草(略)谷中通、車坂下(略)浅草中町(略)伊勢屋へ(略)薩埵拝し鰻を放し、榧八幡参詣、甚三郎・萩原と芥子助見に行、芸をせさる由にて帰る、因果地蔵拝し、又伊勢屋へ寄、並木を下…

★天明四年夏・三月~五月

江戸庶民の楽しみ 70 ★天明四年夏・三月~五月 ★三月 四日○四半比よりお隆同道浅草参詣(略)御成門前人留故西門より(略)巣鴨通、据町に見通しの障戸を立る、もはや人通すゆへ世尊院前へ出、首振坂上に繩を張人固め居たり(略)谷中門(略)車坂(略)伊勢屋に休(略)…

★天明四年春・一月~二月

江戸庶民の楽しみ 69 ★天明四年春・一月~二月 ★一月 七日○九ツ過よりお隆同道浅草参詣(略)浅草甚賑也、伊勢屋に休む(略)薩埵拝す、御堂廻り因果地蔵へ詣、又伊せ屋に休む、昆布巻鮒貰ふ(略)並木を下り(略)山下より中町、湯島、女坂へ入る前にて露竹馬にて通…

★天明三年冬・十月~十二月

江戸庶民の楽しみ 68 ★天明三年冬・十月~十二月 ★十月 二日○七頃より(略)菊花を見る(略)西門より(略)左太郎菊を見る(略)客少在、稲荷裏より権左衛門菊を見、表へ出弥三郎菊を見る、客多く酒呑居たり、四郎左衛門菊にて橡をかり茶を飲、和泉境より庄八庭へ行…

★天明三年秋・七月~九月

江戸庶民の楽しみ 67 ★天明三年秋・七月~九月 ★七月 六日○当年の大炎暑○暮過より南方震動の如く響き蝿中迄出る、先年大島焼し時の如くにて続ミ不止、四半時許にて問遠く成○夜なを震動の音響き脈られす 七日○早朝より一面曇り空薄赤く胴中樹々霧の如く烟をこ…

★天明三年夏・四月~六月

江戸庶民の楽しみ 66 ★天明三年夏・四月~六月 ★四月 五日○九半頃よりお隆同道浅草参詣(略)瑠璃殿外にて拝し車坂より下る、山下より塗中大熱閙群集分かたし、広徳寺開帳へ行、十七八の巫女二人神楽を上る、女人形からくり有(略)誓願寺歯吹弥陀開帳へ行(略)弥…

★天明三年春・一月~三月

江戸庶民の楽しみ 65 ★天明三年春・一月~三月 ★一月 十二日○九少過よりお隆同道浅草へ行、塗名倉前より二十間計泥濘深(略)神明拝す、お隆は駕のうちにて拝み(略)いろは迄下駄(略)戸繋いせ屋に休み(略)観音参詣、今日群集、御手洗へ饅放し御堂を廻り榧八幡拝…

★天明二年冬・十月~十二月

江戸庶民の楽しみ 64 ★天明二年冬・十月~十二月 ★十月 二日○八半前よりお隆同道常徳寺・円通寺へ(略)富士裏、御鷹匠町裏、常徳寺地蔵拝し、土物店へ出、円通寺へ行、居宅甚乾浄、甘糕・蕎麦等種々饗応、庭前仮山水を見、文珠参詣、卵塔見廻り、尾沢と囲碁、…

★天明二年秋・七月~九月

江戸庶民の楽しみ 63 ★天明二年秋・七月~九月 ★七月 十一日○七半前よりお隆同道日暮里へ(略)裏門(略)富士裏より御鷹部屋裏道、石仁王前通、道灌山へかかる、青雲寺裏にて夜に入、直に佐倉屋へ行、納経青松寺観音へ納る故茶屋へ頼む、天気晴尽夜色昼の如し、…