2015-01-01から1年間の記事一覧

続華道古書集成の植物 第三巻

続華道古書集成の植物 第三巻 『立花圖巻』 『立花圖巻』は、解題によれば「室町時代の立花伝書。筆写本・・・書写年代は奥書の天文廿三年と見て過誤なく・・・と考えられるが、他に拠所なく不詳」とある。立花図21枚あるが、図には花材名の記入はなく、描か…

春の草花

春の草花 ニリンソウ・キクザキイチゲ・ユキワリイチゲ・ショウジョウバカマ 三月に入ると、野草は一斉に咲き始める。中でもキンポウゲ科のニリンソウやキクザキイチゲなどは、春の到来を告げる花として魅力的である。ニリンソウは、その若葉を山菜として食…

早春の草花

早春の草花 シロバナタンポポ・ヒロハノアマナ・フクジュソウ・ミスミソウ 二月に入ると、多くの植物が一斉に活動をはじめる。とは言っても、咲いている花はまだ少ない。もっとも、前年から咲いているスイセン、シロバナタンポポ、渋いところではフユノハナ…

続華道古書集成の植物 第二巻その3

続華道古書集成の植物 第二巻その3 『立花圖繪』 『立花圖繪』は写本図集で、作者不詳、作成年も元禄末期とされる程度で不明。図に描かれた植物は縮小され、判読困難。したがって、検討を省くことにする。 『諸花抛入百瓶圖』 『諸花抛入百瓶圖』は、解題に…

『花の巻』(『茶之湯三傳集』)の出典を探る

続華道古書集成第二巻の植物 その2 『花の巻』(『茶之湯三傳集』)の出典を探る ・『花壇綱目』『花譜』『花壇地錦抄』 『茶之湯三傳集』が『古今茶道全書』を参考にした可能性は高いものの、その他にも参考にした資料がありそうだ。そこで、当時の園芸書…

必要なのは持続的なふれあい

自然保護のガーデニング7 ・必要なのは持続的なふれあい 自然を大事にしようとか、保護しようとする気になるには、自然に自分から接しようとすることと、自然とのふれあいを持続させることが重要である。気まぐれや、他人から言われて自然と親しんだり、ま…

続華道古書集成の植物 第二巻その1

続華道古書集成の植物 第二巻その1 『花傳書・座敷莊嚴之図』 『花傳書・座敷莊嚴之図』(以下『花傳書』)は、『続華道古書集成』第二巻の最初の書である。『花傳書』は、解題に「池坊専応の口伝書は奥書によれば天文十一年(一五四二)の筆写であるがこれ…

混乱している自然とのふれあい

自然保護のガーデニング6 混乱している自然とのふれあい 自然とのふれあいは、国をはじめとして学校や地域でも積極的に進めようとしている。とはいえ、都会に住む人々にとって、山や海のような自然の豊かな地域に出かけることは、月に一回もあればいいほう…

十八世紀の花材と茶花

茶花 41 茶花の種類その38 十八世紀の花材と茶花 『華道古書集成』の十八世紀に出された花伝書の花材と『槐記』『利休居士百五十回忌追悼如口心斎百会記』『学恵茶会記』『伊達綱村茶会記』『御茶之湯記』『茶湯百亭百会之記』『島津吉貴茶会記』『他所之茶…

長野冬季オリンピック滑降競技場設営問題

自然保護のガーデニング5 長野冬季オリンピック滑降競技場設営問題 自然保護は開発反対運動の手段に使われることがある。場合によっては、面子を立てるために一応自然保護を訴え、保護の困難さをほのめかし、開発してしまうようなケースもある。これも、対…

十七世紀の花材と茶花

茶花 40 茶花の種類その37 十七世紀の花材と茶花 『華道古書集成』の十七世紀に出された花伝書の花材と『小堀遠州茶会記集成』『古田織部茶書』『伊達綱村茶会記』などの十七世紀に催された茶会の茶花を比べる。花伝書として取り上げるのは、『替花傳秘書』…

万年青

オモト・万年青・をもと オモトの名称 オモトは、大昔から日本に生育していたものと思われる。この植物を鑑賞する、愛でるようになったのもかなり昔からと思われる。室町時代末期刊とされる『饅頭屋本節用集』に「霊草」として喜兆に用いられたと記されてい…

・都市の自然はつくりもの

自然保護のガーデニング4 都市の自然はつくりもの 「都市の自然」という表現自体、ちょつと変だと思うが、都市の自然は人間の手によって造成されたり、管理されてきたと言っても過言ではない。東京についてみれば、戦前までは江戸時代とほぼ同じような生物…

続華道古書集成の植物 第一巻

続華道古書集成の植物 第一巻 『華嚴秘傳之大事』 『続華道古書集成』(思文閣)の最初の書は、『華嚴秘傳之大事』である。なお、『華嚴秘傳之大事』の書名は、外題が不明なため内題から書名が定められている。この書は、「『池坊花藏院判在之書』を書写した…

・ゆとり

1-3 ・ゆとり 新しい東京駅八重洲口広場を見たかと問われ、早速出かけた。建物を出ると、先ず目に入ったのが株立ちの高木、林立していた。これが東京駅八重洲口広場のイメージとなるのか、と思いながら近づいた。常緑の葉を見ると、この木はシマトネリコであ…

アヤメとハナショウブの表示名について

茶花と花材の植物名その17 アヤメとハナショウブの表示名について ・アヤメ・イチハツ・カキツバタ・ハナショウブ 茶花や花材を調べていて、気になるのはアヤメ・イチハツ・カキツバタ・ハナショウブ、加えてネジアヤメ・カンザキアヤメなどである。これらに…

1-3 和のこだわり

1-3 和のこだわり ・図と地の関係 東京は、刻々と変わっている。建物や道路だけでなく、植物も変化しており、その変化は追いかけきれない。それでも、新たな植物景観ができたという情報があれば、できるだけ見るようにしている。見て感じるのは、日本らし…

茶花と花材の植物名その16

茶花と花材の植物名その16 茶会記や花伝書に記された植物名を整理する。茶花や花材として記された名称は、当時の呼び名であり、必ずしも現代名と同じではない。また、同じ植物と思われるものにも、いくつもの名前が書かれている。その上、書かれている名(漢…

・ドングリ作戦

自然保護のガーデニング3 ドングリ作戦 皆さんも聞いたことがあるかもしれないが、山に落ちているドングリを拾い、空き地に蒔き、郷土の自然の森ををつくろうという活動がある。これは、ドングリ作戦、ドングリコロジーとも言われ、誰にでもわかりやすく、…

茶花と花材の植物名その15

茶花と花材の植物名その15 マツムシソウ(マツムシソウ科)・・・種名・・・マツムシソウの初見→和漢三才図会1713年? 玉毬花=マツムシソウ・・・『生花百競』1768年(明和五年)に記される。 松虫草=マツムシソウ・・・『抛入花薄精微』1796年(寛政七年)…

日本の気候風土とガーデニング

1-1 日本の気候風土とガーデニング ・七十二候にも及ぶきめ細かい変化 世界で最も細やかな日本の四季、その被類なき美しさは体験した者にしかないとわからないであろう。日本の自然は日々移り変わり、行きつ戻りつしながら、他国にはない美しさを見せてい…

マスコミ主導の自然保護

自然保護のガーデニング 2 マスコミ主導の自然保護 自然保護が人々に浸透していくのは、四日市や水俣などの公害問題がマスコミを賑わし、都市公害による被害が人々に知らされていくのとほぼ時を同じくしている。都内でも公害病認定患者が二千人を超え、その…