#その他文化活動

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分6

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分6 ・「椿」は、他の植物にも増して挿木接木の詳細な説明があり、関心の高さがわかる。気になる記述は、「指木ハ切口を二つニわりたる所より根出ル」とあるが、枝を二に割って挿す方法は、現代ではあまり聞かない。実際に…

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分5

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分5 ひ 15品 「びやくしん」はミヤマビャクシン、本文中の「柏槙」に対応するものだろう。 「ひむろ」はヒムロ、本文中の「ひむろ」と同じ表記である。 「ひのき」はヒノキ、本文中の「檜」に対応するものだろう。 「びや…

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分4

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分4 こ 9品 「こぶし」はコブシ、本文中の「こぶし」と同じ表記である。 「高野槙」はコウヤマキ、本文中の「高野槙」と同じ表記である。 「こでまり」はコデマリ、本文中の「小てまり」に対応するものだろう。 「五味子」…

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分3

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分3 そ 3品 「蘇鉄」はソテツ、本文中の「蘇鉄」と同じ表記である。 「そよぎ」はソヨゴ、本文中の「そよぎ」と同じ表記である。 「鼠尾草」はミソハギ、本文中の「鼠尾草」と同じ表記である。 つ 6品 「椿」はツバキ総称…

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分2

『花壇地錦抄』6草木植作様伊呂波分2 ち 6品 「沈丁花」はジンチョウゲ、本文中の「沈丁花」と同じ表記である。 「ちやうし草」はチョウジソウ、本文中の「丁子草」に対応するものだろう。 「ちやうりやう草」はハンカイソウと思われるが、ハンカイソウは…

『花壇地錦抄』6 草木植作様之巻

『花壇地錦抄』6 草木植作様之巻 「草木植作様之巻」は、植物の植え方について解説している。 先ず、植栽には土・土壌に合わせて植えなければならないことを、事例をあげて示している。「たとへハ草ヲ原地に植れハ枯れ 野草を泥中ニ植れバ腐(根腐れ)する…

『花壇地錦抄』5 草花秋之部

『花壇地錦抄』5 草花秋之部 △草花秋之部 「草花秋之部」は62品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。これらを『牧野新日本植物図鑑』などから推測すると以下のようになる。 「白仙翁花」は、センノウ(ナデシコ科)の…

『花壇地錦抄』4 草花夏之部

『花壇地錦抄』4 草花夏之部 ○石竹のるひ 「石竹のるひ」は8品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。これらを『牧野新日本植物図鑑』で確認できたのは、「おらんた」だけである。 「おらんた」は、カーネーション(ナ…

『花壇地錦抄』4 草花春之部・草花夏之部

『花壇地錦抄』4草花春之部・草花夏之部 草花春之部 「草花春之部」には53品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。これらを『牧野新日本植物図鑑』などから推測すると以下のようになる。 「福寿草」は、フクジュソウ(…

『花壇地錦抄』3○冬木之分

『花壇地錦抄』3○冬木之分 ○松のるひ・・・8品 「松のるひ」は8品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。 「松のるひ」として「黒松・赤松・ちやうせん松・唐松・五葉松・ひめこ松・鹿嶋松・霜ふり」の品名がある。以…

『花壇地錦抄』3夏木

『花壇地錦抄』3夏木 ○楓のるひ・・・23品 「楓のるひ」は23品あり、すべてに説明がある。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。「楓のるひ」は、「高雄・八しほ・野村・せいがいは・しやうじやう・楊貴妃・たつた・獨搖楓・大しだり・うすかき・…

『花壇地錦抄』2さつき・梅・桃・海棠・櫻

『花壇地錦抄』2さつき・梅・桃・海棠・櫻 ○さつきのるひ・・・162品 サツキについては、「さつきのるひ」として品名が続く。「江戸版」「京都版」とも同数でほぼ同じである。『牧野新日本植物図鑑』には、サツキ(ツツジ科)以外の品名については詳細な種…

『花壇地錦抄』1芍薬/2椿・茶山花・躑躅

『花壇地錦抄』1芍薬/2椿・茶山花・躑躅 ○芍薬のるひ・・・116品 シャクヤクについては、「芍薬のるひ」として「小車・・・」と品名が続く。『牧野新日本植物図鑑』には、シャクヤク(キンポウゲ科)以外の品名については詳細な種の記載はない。 芍薬の品…

『花壇地錦抄』1牡丹

『花壇地錦抄』1牡丹 『花壇地錦抄』は、元禄八年(1695)に江戸近郊の染井の植木屋、伊藤伊兵衛(三之蒸)によって作成された園芸書である。資料として、『花壇地錦抄・草花絵前集』(平凡社東洋文庫・江戸版)、『近世歴史資料集成 第V期(第8巻)園芸【…

江戸時代初期の三園芸書の特徴

江戸時代初期の三園芸書の特徴 『花壇綱目』『花譜』『花壇地錦抄』の三書は、江戸時代初期の園芸書として優れた著作である。三書は、著者の関心の違いによりそれぞれが特徴のある記述がなされている。そこでまず、『花壇綱目』の植物の記述を詳細に見る。最…

伝統園芸の時代背景

伝統園芸の時代背景 日本人が園芸(Gardening)を始めのは有史以前からであろう。それについて具体的な証明をするには、何時・何処で・誰が・何を・何故・どのように(技術等)していたかを示さなければならない。それも個別的な事例ではなく、総合的な視点…

『花譜』の不思議

花譜の植物名6 5『花譜』の不思議 貝原益軒は、『校正本草綱目』の翻刻(1672年)のあと、『花譜』を1694年に作成している。『大和本草』(1709年)や『菜譜』(1704年)の前に作成している。『花譜』からの3書は同時進行であったかもしれないが、なぜ『…

花譜の植物名5

花譜の植物名5 ・「三波丁子」・・・目録および本文にも仮名はない。 「三波丁子」では『牧野新日本植物図鑑』に手がかりがなく、花伝書を見ることにした。 『華道全書』1695年元禄八年に、「三波丁子」がセンジュギク(キク科)であることがわかった。再度…

花譜の植物名4

花譜の植物名4 3 中国の資料を見ていない植物2 ・「蝦根」・・・目録に「エビネ」、本文に「えびね」と仮名が振られている。「蝦根」はエビネ(ラン科)であろう。 エビネの初見は、『資料別・草木名初見リスト』(磯野直秀)によれば、『山科家礼記』(1…

花譜の植物名3

花譜の植物名3 1植物名の表記について 植物名の多くに仮名が振られており、現代名にするのに非常に役立つ。ただ、一部には、目録の植物記載と本文の植物記載が異なっている。 ・たとえば、目録の「山茶木」には「ツバキ」と片仮名が添えられている。本文に…

花譜の植物名2

花譜の植物名2 「桔梗」は、キキョウ(キキョウ科)。 「雞冠花」は、ケイトウ(ヒユ科)。 「槿花」は、ムクゲ(アオイ科)。 「丈菊」は、ヒマワリ(キク科)。 「龍胆草」は、リンドウ(リンドウ科)。 「赬桐」は、ヒギリ(クマツヅラ科)。 「紫苑」は…

『花譜』の植物名

『花譜』の植物名 『花譜』の植物名を記されている順に示す。資料として、国立国会図書館デジタルコレクションおよび中村学園貝原益軒アーカイブに記されている『花譜』関連書、『牧野新日本植物図鑑』、『樹木大図説』などを使用する。 「梅」は、ウメ(バ…

十七世紀の園芸植物分類

十七世紀の園芸植物分類 植物名を知る 花材や茶花の名前をどのようにして知ったのか。現代であれば、植物図鑑やインターネットで容易に調べることができる。十六世紀に生きた人たちは、わかりやすい植物図鑑や書籍を見ることはできなかった。植物の名は、周…

十六世紀の植物名について3 初見の検討

十六世紀の植物名について3 ・蜜柑 ミカン(ミカン科)・・・総称名・・・ミカンの初見→看聞御記1419年 ・鼠尾草 ミソハギ(ミソハギ科)・・・種名・・・ミソハギの初見→本草和名918年頃 ・茗荷 ミョウガ(ショウガ科)・・・種名・・・ミョウガの初見→本…

十六世紀の植物名について2

十六世紀の植物名について2 十六世紀の植物として300程の名前をあげたが、選び方によって300以上になる。ここでは、花材や茶花として使用されないと思われる植物(和布ワカメなど)は除いている。 また、知識不足で読めない漢字や現代名を確定できない植物…

十六世紀の植物名について

十六世紀の植物名について 十六世紀に記された花材と茶花の植物名を調べている中で、当時の名前を記した資料を参考に見直したい。その資料として、『尺素往来』『古本節用集』『新撰類聚往来』を調べる。 『尺素往来』 『尺素往来』は、文明十三年(1481)以…

十六世紀以前の花材と茶花

十六世紀以前の花材と茶花 花材と花伝書 『花道古書集成』『続花道古書集成』に記された花伝書の成立時期を見ると、『仙傅抄』が1445年で、次が一世紀後に『池坊専應口伝』(1543年)、『続華道古書集成』の『花伝書』(1567年)となる。さらにその次は、165…

十六世紀以前の花材

十六世紀以前の花材 ★十五世紀の花材 生花の花材、さらには茶花を加えて、日本人がどのような花を飾ってきたかを知りたい。そのような資料として、花伝書は最も適していると考えられる。「生花」が成立した当時の花材(http://blogs.yahoo.co.jp/koichiro194…

花道書作成・刊行・写書時期の整理

花道書作成・刊行・写書時期の整理 『続華道古書集成』と『花道古書集成』に記された花道書を作成順に整理する。まず、『花道古書集成』の花道書の作成時期を示す。 ★『花道古書集成』花道書の作成時期 ・第一巻 『仙傳抄』は、文安二年(1445年)の作成とす…

「いけばな」成立期の花材

「いけばな」成立期の花材 『華道古書集成』『続華道古書集成』を中心にどのような植物が花材に使用されてきたかを見てきた。その他にも、『山科家礼記』のように数多くの花材が記された資料がありそうである。そこで、立花・生花が成立したとされる室町時代…